◆J3藤枝MF枝本雄一郎(28)

 28歳の現在、成長期を迎えている。ボールを蹴ること、練習、試合が純粋に楽しい。

 「サッカーの知識が増えていることで、さらに成長したなと自分でも思う。この年齢になっても成長できるのはうれしい」

 14年シーズンは3得点、15年シーズンは2得点だった。主力として試合に出続けていたが、昨季まではドリブルがうまい普通の選手。だが、今季は12得点を挙げた。J3得点ランク4位に立ち、チームを過去最高の7位に押し上げた。さらにチーム総得点48得点は、優勝した大分に次ぐ2位だった。

 今季、重要視していたことは「相手DFの意識の外で動くこと」。ボールを持たない時に、忍者のごとく素早くピッチを動き回るようになった。相手DFの背後に入って、ボールを引き出す。スペースを見つければ、中盤から積極的にゴール前に飛び出す。次のプレーを予測し、相手が嫌がるところに走る。小2でサッカーを始めてから20年、蓄積された経験が生きている。

 「足元の技術は変わらないけれど、頭脳や知識はどんどん増えていく。だから楽しい」

 勝利だけを求める。藤枝はスタジアムの問題などがあり、J2ライセンスを保有していない。優勝してもJ2に昇格できない難しい状況だ。勝利し続け、結果を残し続けてホームタウンやサポーターに訴えかけるしかない。そのためホームゲームに強い気持ちを持っており、今季ホームでは11勝1分け3敗と圧倒的な数字を残した。来季に向け、枝本は「個人の結果も大切だけど、チームの成績がいちばん大切」。29歳になる来季、さらなる成長が期待される。【保坂恭子】