<J1:鹿島1-1浦和>◇第19節◇27日◇カシマ
日本代表候補の浦和FW田中達也(25)がチームを救った。首位鹿島との大一番。0-1で迎えた後半37分に、値千金の同点ゴールを決めた。度重なるけがで、今季はリーグ中断までほとんど出場のなかったワンダーボーイが、今季初ゴールで貴重なアウェー勝ち点を呼び込んだ。28日から始まる代表候補合宿を前に、岡田監督が見守るなかで結果を出した。対鹿島は区切りの50戦目で、浦和の18勝6分け26敗となった。
ゴールへの嗅覚(きゅうかく)が働いた。後半37分、右サイドからFWエジミウソンがクロスをあげた。ニアサイドで相手DFとFWエスクデロがつぶれ、後ろに流れたボールに田中達は体ごと突っ込んだ。「セル(エスクデロ)とDFが2、3人かぶって(ボールが)見えなかった。どこに当たったのか分からない」。感触も忘れる今季リーグ初の劇的ゴールだった。
勝てば首位浮上、負ければ勝ち点差5に開く頂上決戦に、自然と気持ちも高ぶっていた。「出るからには負けたら意味がない。でも、今日は本当に負けられないというのも確かにあった」。昨季終盤、右足のけがで離脱し、ベンチの外からV逸した仲間を見つめた。悔しい思いをさせられた鹿島が相手だけに、負けられなかった。
大事な試合になればなるほど、存在感を増す。田中のことをある選手はこう話していた。「代表の話を聞いたことがない。きっと、クラブだろうと、代表だろうと関係ない。小学生相手でも中学生相手でも同じだと思う」。前半39分に激しい雷雨のため、ゲームは1時間10分も中断。田中達は控室で常に体を動かし、「体が冷えないようにしていた」という。
常に100%。フル稼働で愚直に動き回るからこそ、サッカーの女神がほほえむ。この日も試合前に「前半でバテてもいい。120%以上出して、バテたら交代。出し惜しみはしない」とまで言い切っていた。28日から日本代表候補合宿に参加する。「(岡田監督に呼ばれたのは)初めてなのでしっかりアピールしたい」。次節柏戦(8月9日)まで、代表候補合宿を挟んで1週間以上ある。リーグ奪還のためワンダーボーイは走り続ける。【栗田成芳】



