<J1:大分1-0京都>◇第23節◇28日◇九石ド

 大分が首位名古屋に勝ち点1差まで詰め寄った。ホームでの京都戦は、前半22分にFWウェズレイ(36)のFKを、FW森島康仁(20)がヘッドで決めて先制。後半の京都の猛攻を自慢のDF陣が無得点に抑えてクラブ初の3戦連続完封で今季初の3連勝を収めた。リーグ戦10試合連続不敗をキープ。ナビスコ杯も含めると12戦不敗の快進撃。川崎Fが4-1で新潟に大勝して5位を堅守。J1は上位5チームが勝ち点2差にひしめく大混戦になった。

 ついに大分が首位のしっぽを捕まえた。試合終了後、ホームの九石ドームの夜空に祝砲の花火がとどろいた。2万1245人のサポーターが歓喜に揺れた。クラブ初の3試合連続完封勝利でリーグ10戦連続不敗。「首位争いを楽しめている」。MF鈴木は言った。

 前半18分にGK西川が京都のFW柳沢との1対1を止めた。これでペースをつかんだ。同22分にFWウェズレイのFKを、20歳のFW森島が頭でゴールに押し込んだ。後半は前線を厚くした京都に攻め込まれたが、体を張った激しい守備でことごとくはね返した。「最後まで集中力が切れなかった」と、シャムスカ監督は振り返った。

 1年前のこの時期は降格危機に立たされていたが、今年は次節浦和戦(9月13日)の結果次第で、クラブ初の単独首位に躍り出る可能性がでてきた。好転の最大の要因は、1試合平均0・70点のリーグ最少失点を誇る堅守。2人のブラジル人ボランチを軸に中盤で相手の起点をつぶし、最後は体を投げ出して止める。その守備意識が「チームに浸透してきた」と選手たちは口をそろえる。この日はMFエジミウソンを初めて故障で欠いたが、MF藤田が代役をきっちりと務めた。

 GK西川以外で日本代表選手はいない。この日の先発メンバーの約半分は、出場機会に恵まれずに移籍してきた。その無印男たちが大分で変わった。決勝点を決めた森島は、7月にJ2のC大阪から期限付きで移籍してきた。前所属では才能をもてあましていたが、16日のアウェー新潟戦に続く2得点目に「大分は選手もスタッフもすごくファミリーでやりやすい」。シャムスカ監督も「選手と正面を向いて、目を見て話をする」。選手を信頼し、能力を引き出そうとする手腕が、選手を再生させた。

 4位とはいえ鹿島、浦和と並ぶ勝ち点41で、首位名古屋とは勝ち点1差。05年の就任から3年。「チーム愛」を看板に掲げて、時間をかけてチームづくりを進めてきたシャムスカ監督の信念が、大分躍進の根底にある。【村田義治】