<J1:鹿島2-0清水>◇第27節◇28日◇カシマ

 鹿島MF青木剛(26)がバースデー&本拠地初ゴールで、逆転V再現の足掛かりをつくった。清水戦の前半20分に右足ミドルで先制弾を決めて、ACL準々決勝(24日)敗退直後のチームを鼓舞。その後も攻守に圧倒した試合内容で2-0で3試合ぶりの勝利を収め、3位に浮上した。昨年と同じ残り9試合目での勝利で2連覇を狙う。

 この場所で、いつかゴールを決めることを夢見ていた。それがついにかなった。前半20分。青木はゴール前でボールを持ったMFダニーロに大声でパスを求める。魂の叫びが味方に届いた。後方から走り込み、右足を鋭く振り抜く。23メートルの位置から低弾道のミドルシュートがゴール左隅に糸を引くように決まった。

 喜びのあまりパフォーマンスも忘れた。「気持ちよかった。北島じゃないけど(笑い)」。無理もない。この日は26歳の誕生日。そして公式戦通算7点目だがカシマサッカースタジアムでは118試合目にして初得点。「サポーターの人からいつも『シュートを狙ってね』と温かい声を8年間かけられた(笑い)。やっとこのスタジアムでいいシュートを決められた」と格別なゴールを振り返った。

 2ボランチの相棒だった小笠原の姿はない。左ひざの重傷で離脱。そのことが青木の意識を高めた。「満男さんと同じプレーはできなくても同じ姿勢は見せられる」。先制点後も同22分、後半13分とゴール前に飛び出した。そして本職の守備でも最後まで運動量は最高レベルを維持した。MF中後とのコンビで今季最高の試合内容を引き出した。

 この日は代表の岡田監督も視察。代表デビューした8月のウルグアイ戦は前半交代の不完全燃焼だった。だが鹿島に帰るとオリベイラ監督から励まされた。「他のテレビ番組を見ていて試合は見てなかった。でも君が出ていた時は無失点で交代した後に3失点。周りに何か言われたらそう言えばいい」。代表への意欲が高まると同時に「まずは鹿島で頑張ること」と再確認した。この日はメンバー発表前日に最高のアピールを見せた。

 4日前にACL制覇の目標を失った。だがショックを振り切っての1勝。昨年は同じ残り9試合目から全勝し、奇跡の優勝を達成した。「かけるものはJリーグしかない」。青木のミドル弾が2連覇への起点となる。【広重竜太郎】