<J1:鹿島2-1広島>◇第3節◇22日◇カシマ

 鹿島のFW興梠慎三(22)が広島戦の後半ロスタイムに決勝ゴールをマークした。不調に陥り、18日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の上海申花戦ではベンチ外という悔しさを味わい、この日もベンチスタート。大型新人FW大迫勇也(18)の台頭もあって強い危機感を抱いた興梠が、自身の存在をアピールする一撃でチームを勝利に導いた。

 胸に秘めた悔しさを一撃に込めた。後半ロスタイム。MF小笠原の左CKをDF岩政が頭で落とすと、そこにはFW興梠がいた。「たまたま、ぼくのところにボールが来た。ふかさないように気をつけた」。右足で強くたたいたシュートは決勝弾となり突き刺さった。

 両手の人さし指を天に突き立てた瞬間、イレブンの歓喜の輪にもみくちゃにされた。途中出場で値千金のゴール。それでも、ヒーローはあえて喜びを押し隠し「ごっつぁんゴールじゃなくて、自分らしいプレーを見せたかった。先発から出られるように頑張っていきたい」と気を引き締めた。

 一喜一憂できないほど危機感があった。2連敗した11日のACL水原戦、15日のリーグ新潟戦の不振で、18日のACL上海申花戦はベンチ外。17日にベンチ外を知った直後は「心が折れそう」と落ち込んだ。だが、代わって入った新人FW大迫が上海戦で1得点1アシストを記録すると「刺激になった?

 ぼくだけじゃなく、他のFWもそうだと思う」。大型ルーキーの活躍で心に火が付いた。

 この日は、1-1の膠着(こうちゃく)状態に陥っていた後半27分に、その大迫と代わって登場。「(ベンチ外を知った時は)頭が真っ白になった。今日は取り戻すことしか考えなかった」。短い出場時間で結果を残したが「スッキリした?

 全然。(これから)はい上がっていきますので」と満足はしていない。不動の定位置を取り返すまでゴールを積み重ねていくつもりだ。【菅家大輔】