<J1:清水1-0新潟>◇第13節◇23日◇東北電ス

 日本代表FW岡崎慎司(23)が、代表招集前のラストマッチで「万能型」としての存在感を示した。アウエーの新潟戦で、左サイドのMFとして先発出場。両サイドからFWと縦横無尽に動き回り、後半7分には中盤で新潟のパスをインターセプトしてドリブル突破。新潟の反則を誘い、山本真のFKによる決勝点へと導いた。27、31日のキリン杯と6月6日のW杯アジア最終予選ウズベキスタン戦(タシケント)に向け、好調さをアピールした。

 ゴール前でパスを待つだけが岡崎の仕事ではない。後半6分、新潟MFペドロ・ジュニオールの攻撃に転じるパスを左サイドでカットすると、一気にゴール目掛けてドリブル突破を図った。シュートレンジに突入したところで、慌てた新潟DF本間からのファウルを受け、ゴール前の絶好の位置でFKを獲得した。「高い位置でのプレスは狙っていた。分厚い攻撃になることが僕がサイドMFに入る意味だと思っている」。

 FWだけでなく攻撃的ポジションなら幅広くこなせるから、日本代表でも生きる。「前でやることが持ち味だし、そこで(試合に)出るのが楽しみだけど、どこでもやれるから出るチャンスが多くなるというのもある」。清水でのサイドMFでの先発出場は、この日で4戦目。豊富な運動量で左右のサイドやゴール前に顔を出して得点機をうかがった。長谷川監督は「相手を脅かした」と褒めた。

 その一方でチームでのポジション変更の繰り返しが、ストライカーとしての岡崎を苦しめた。序盤は8戦4発と、快調な滑り出しを見せていたが、この試合を含めてここ7戦は不発。焦りからか「ポジションチェンジが多いと自分の持ち味がどこなのか、たまに忘れる」と嘆いた日もあった。それでも「シンプルに考えればいい。中盤だったら運動量が増える分だけボールも多く触れる」と、数日後には頭の中を整理し、いつもの前向きで明るい岡崎に戻った。

 Jは中断期間に入り、W杯アジア最終予戦が大詰めを迎える。名古屋FW玉田、鹿島FW興梠の故障やボルフスブルクで出番が少ない大久保など、攻撃陣の状態は決して万全ではない。岡崎は「代表でもFW、トップ下、サイド、どこで出ても自分の特徴を出せるようにしたい」と心強い。「万能型」に進化した岡崎が岡田ジャパンの大きな武器になる。【為田聡史】