<J1:川崎F2-1新潟>◇第1節◇6日◇等々力

 フランスリーグのレンヌから9年ぶりにJ復帰した川崎FのMF稲本潤一(30)が、開幕戦で貴重な追加点をアシストした。1-0の前半22分。中央で相手のパスをカットすると、ドリブルでかわして右前方のFW黒津へパス。黒津が左足でゴールを決めた。稲本は「クロ(黒津)が右にいて、左で蹴るだろうなというイメージはあった。自分の特徴だし、いいパスを出せたと思う」。チームは悲願の初優勝へ向け、3年ぶりとなる開幕勝利を飾った。

 MF中村、FWジュニーニョを負傷で欠いて臨んだ開幕戦だった。試合前には、11人全員が中村の「14」のユニホームを着てピッチへ向かった。稲本は「憲剛は愛されているよなあ。ボクがけがしたときも、よろしく」と笑顔で話していたが、チームの軸を欠いた危機感は十分に理解していた。前半は積極的に前へ出てパスを奪い、攻撃につなげていた。

 G大阪時代の01年7月21日の鹿島戦以来3150日ぶりの復帰戦を勝利で飾ったものの、試合後のコメントには反省材料が並んだ。「前半にもう1点取れば終わっていた試合。その詰めの甘さがある」「前半は素晴らしいサッカーをしていたけど、後半は足が止まっていた」「今日はそこまでいいプレーをしたわけじゃない」。終盤には違和感を訴えていた右内転筋を気にするしぐさもあるなど、まだ本調子ではない。両チームとも、ほとんどが日本人である状況にも「多少違和感があるね」。周囲との連係も含め、試合を重ねていくごとに稲本の存在感は高まっていきそうだ。【飯島智則】