<J1:鹿島4-1名古屋>◇第12節◇16日◇豊田ス

 日本代表の守備陣が、W杯による中断前最後のリーグ戦で不安を露呈した。GK楢崎正剛(34)と同DF田中マルクス闘莉王(29)が守備をけん引する名古屋は、鹿島に1-4で大敗。2人のミスによる失点ではなかったものの、今季初の4失点で、闘莉王は微妙な判定にいらついて空回り。21日からの日本代表合宿への影響が懸念される。

 4失点の惨敗後、名古屋のゴール裏に不穏な空気が漂った。W杯前最後の試合後、あいさつした楢崎と闘莉王は猛烈なブーイングで送り出された。控室へ引き揚げる闘莉王にメーンスタンドから汚いヤジまで飛んだ。これに闘莉王も過敏に反応。チームメートになだめられ事無きを得たが、後味の悪さが残った。

 試合後、闘莉王はレフェリーの微妙な判定に不満をぶつけた。「オレらがブーイングされる形にまでなった。ファウルとイエローの基準がおかしい」。確かに後半8分の2失点目はDF増川が後方から相手に押されて、ボールを奪われたようにも見えた。しかし、序盤から続いた微妙な判定にイラつき、闘志が空回りしたのも事実。GK楢崎も「こっちがイライラしてしまったのは残念。ボクたちのミスが多かった」と完敗を認めるしかなかった。

 W杯1次リーグの相手は格上の強豪ばかり。最終ラインで柱となる2人が、耐え抜いて勝機を見いだす心身の粘り強さが求められる。この日の惨敗とブーイングを“良薬”にするしかない。それには気持ちの切り替えが不可欠。楢崎は「良いプレー、良い結果を得て代表合宿に行きたかった」とポツリ。闘莉王に至っては「切り替えづらい。あの審判、今日夢に出てくるんじゃないか」。大目標のW杯4強へ-。どうか、松尾一主審(37)が闘莉王の夢に出てきませんように…。【八反誠】