<天皇杯:鹿島2-1東京>◇準決勝◇29日◇国立

 鹿島がFW大迫勇也(20)の1得点1アシストの活躍で、東京に2-1で逆転勝ちし、3年ぶりの決勝進出を決めた。08年度の全国高校選手権で10得点を挙げて歴代最多記録をつくった国立競技場で、25日の準々決勝名古屋戦に続く2戦連発。来季のエース候補に名乗りを上げた。来年1月1日の決勝戦(国立)で、4度目の日本一を目指す。

 「冬の国立」で大迫が再び輝いた。0-1で迎えた後半22分、DF宮崎の左サイドからのクロスに頭で合わせて試合を振り出しに戻した。そしてPK戦突入目前の延長後半ロスタイム、MF本山からのパスをFW興梠に合わせて、決勝アシストを決めた。「1点目はいいボールを上げてくれた。決勝点はトラップが足元に入りすぎたので、シュートじゃなく興梠さんへのパスに切り替えた」と冷静に振り返った。

 準々決勝の名古屋戦に続くゴールは、来季のエース再挑戦への布石だった。エース背番号9を背負った今季は、7月に興梠の故障欠場で8試合先発出場したものの、安定感を欠いてレギュラーに定着できなかった。しかし、腐らずに練習前後に黙々と体幹強化トレに励んだ。「あいつが裏で努力しているのは知っている」(伊野波)。秋以降、ポストプレーに安定感が出てきた。

 国立競技場では2年前の全国高校選手権で10得点を挙げて、東京FW平山が02年にマークした9得点を上回る歴代最多得点を記録した。その平山に国立対決で前半にオーバーヘッドで先制点を決められた。負けられなかった。「(平山のことは)意識はしてなかったけど、(国立は)やっぱり、いいっすね」。

 FWマルキーニョスの退団により来季は外国人FWの補強は確実。期限付き移籍していた山形で今季10得点を挙げたFW田代も復帰する。定位置争いがし烈になる来季に向へ、大舞台で成長を見せつけた。【塩谷正人】