カズが、日本代表としてフットサルW杯タイ大会(11月)に出場する可能性が出てきた。日本フットサルリーグ(Fリーグ)に挑戦したJ2横浜FCのFW三浦知良(カズ=44)は15日、エスポラーダ北海道の一員として府中アスレティックとのリーグ戦でスタメンデビューし、3-2の勝利に貢献した。その適応力と技術に、視察した同競技のミゲル・ロドリゴ日本代表監督(41)は代表招集を示唆。今後、カズ本人、サッカー協会、フットサル連盟、Jリーグ、Fリーグ、横浜FCを巻き込む一大プロジェクトが発足する可能性もある。

 開始1分23秒。カズがまたぎのフェイントを試みた。右足3回、左足3回。相手はタイミングに戸惑い、満員の客席から歓声が上がった。開始57秒の右足シュートなど、チームで2番目の5本のシュートを放ち、攻撃を勢いづけた。後半18分34秒にフリーで左足シュートを打ったが、惜しくもGKにはじかれ、無得点に終わった。しかし、デビュー戦で想像以上の高い適応力で、勝利に貢献した。

 カズ

 楽しみたいと思っていたけど、そこまでの余裕はなかった。とにかくシュートはたくさん打とうと思った。左足シュートの時はサッカーの蹴り方になってたね。曲げようと思ったけど、フットサルでは思いっきり蹴らないといけないんだよね。もっと練習してタイミングが合えば、また戻りたい。

 メーンスタンドにはスペイン人でフットサル日本代表のロドリゴ監督がいた。試合後「わずか1日の練習でここまでのパフォーマンスを見せるとは、驚いた。当然、代表入りを検討します」と切り出した。今月初旬、「代表合宿に呼んで経験を若い選手に伝えてもらいたい」と講師として合宿参加を明かしていたが、「プレーヤーとして呼びたい」と方針を切り替えた。

 カズはサッカーが本業だが「できるかどうかはまだ分からないけれど、気持ちはあります。サッカー人として代表監督に言われることはうれしい」と、慎重に言葉を選びながらも前向き。日本協会の小倉会長も「うまくタイミングを合わせて代表に来てもらいたい。大仁さんには話をしている」と乗り気。日本協会副会長でフットサル連盟会長でもある大仁氏は「カズとも横浜FCとも話していきます」と、代表招集に積極的に動く構えだ。

 5月にはアジア予選を兼ねたアジア選手権がUAE・ドバイで行われる。4位以内で無条件で、W杯主催国のタイが4位以内に入った場合は5位までがW杯出場権を得る。日本は予選突破する可能性が高く、11月にはタイで本大会が行われる。府中戦後、カズはサッカーに切り替えるため、予選からの参加は難しく、日本協会はW杯本大会での招集を目指す。

 94年米国大会は「ドーハの悲劇」で逃した。98年W杯フランス大会は直前に岡田ジャパンから落選した。これまでW杯とは縁がない。種目は違うとはいえ、悲願のW杯出場の夢がかなうかもしれない。【盧載鎭】