<高校サッカー山形大会:山形中央1-0日大山形>◇27日◇決勝◇山形・NDソフトスタジアム

 山形中央が日大山形を下し、3年ぶり10度目の優勝を果たした。前半に奪ったリードを懸命な守備で守り抜き、全国一番乗りで選手権切符をつかみ取った。全国の舞台では、この日で引退した3年生の分まで戦う。

 根比べに勝ったのは、山形中央だった。後半のシュート数はわずかに1。日大山形に8本のシュートを浴びたが、DF菅原優大主将(3年)を中心にゴールを死守した。木村雅喜監督(44)は「足をつりながら、粘り強くやってくれた。みんなに感謝したい」と選手をねぎらった。

 3年前の優勝に憧れて入学した3年生だったが、昨年まで2年連続で準決勝敗退。前半13分、右足で決勝点を挙げたMF鈴木翔太(3年)は「自分たちが入って勝てないのか」と、プレッシャーに苦しんだ時期もあった。練習でもピリピリムードが漂う。それでも「去年以上に仲が良い」という団結力で乗り越えた。

 勝利を届けたい仲間がいた。スタンドで声援を送った蒲生将人(3年)は、主力だった1年時に右膝を痛めて手術。この日で部を引退し、卒業後は北海道で料理人として修業を積む。決戦前日には主力にメールを送った。「みんな気遣って接してくれた。高校生活最高の思い出です」。MF竹田陽(3年)は「あいつのためにもという気持ちがみんなにあった」と喜んだ。

 木村監督は「修正しなきゃいけないところがある」と気を引き締めたが、選手権一番乗りで準備期間はたっぷりある。持ち前のまとまりで体力面の課題を消化し、全国の舞台に乗り込む。【今井恵太】