「アウスタ1号男」の汚名返上弾で鬼門を打ち破る。札幌は27日、札幌・宮の沢で練習を再開した。MF高木純平(29)は戦術練習で主力組に入ってプレー。31日の古巣清水戦(アウトソーシングスタジアム日本平)では、3戦連続の先発出場が濃厚だ。24日の前節浦和戦は、自らの判断ミスから失点。札幌は同スタジアムで公式戦7戦全敗と相性は悪いが、背番号7のゴールで初勝利を呼び込む。

 失った1点は、自分の力で取り返す。高木純はこの日の練習で、鋭い右クロスからチャンスメーク。オフ明け初日から、エンジン全開で動き回った。「古巣だし、燃えるものがある。一昨年の7月に札幌に来る飛行機の中で、絶対に赤黒のユニホームを着て清水に勝つ、と誓った。ようやくその念願がかなう」。ジュニアユースから27歳まで着続けたオレンジのユニホームを初めて敵に回す。これ以上のモチベーションはない。

 鬼門突破のキーマンだ。札幌は、アウスタでは旧日本平スタジアム時代から公式戦7戦全敗と苦手にしてきた。だが、清水から移籍してきた高木純にとっては慣れ親しんだピッチ。09年3月29日のナビスコ杯京都戦では、アウスタ改称1号弾を決めている。「あの時も同じ右サイドバック。まず守備だが、チャンスがあれば狙いたい」。J1通算100戦目を飾った同5月17日の大分戦(3-1)も同スタジアムだった。「最高のピッチですよ」。2年ぶりのアウスタで、今度は札幌の12年初勝利弾をたたき込む。

 痛恨のミスが、バネになっている。24日の浦和戦では、1-0の前半ロスタイムにクロスへの対応を誤り同点弾を与えた。「あのミスは人生で初めて。やっちゃいけない。試合後は魂が抜けた。けど、これが無駄にならないように次の試合で取り返す」。古巣を封じて、自信を取り戻す。

 さらに「使ってもらっていることに甘んじてはいけない。同じことを続けたら出られなくなる」と力を込めて続けた。清水時代は09年6月20日の山形戦を累積警告で出場停止になった直後、DF市川(現水戸)にポジションを奪われた。今年で30歳。苦労を知るベテランが右翼から渋く、さりげなく、ゴールネットを揺らす。【永野高輔】