優勝へ避けて通れない壁だ。仙台は29日にアウェーで清水と対戦する。手倉森誠監督(44)にとっては通算1分け4敗、現在J1に所属するチームの中で唯一勝ったことがない因縁の相手。2年続けて開幕からの不敗記録もストップされている難敵の牙城を今度こそ崩し、タイトル奪取の踏み台にさせてもらう。

 5度はね返されてきた相手を、意識するなという方が無理だ。手倉森監督は清水戦へ向けた練習を開始した前日25日、選手たちに訓示した。「勝てていない、難しい試合を勝ってこそ、チャンピオンになれる」。そしてこの日「(勝ち点)3取りだ!」とあらためて宣言し、勝利への執念をむき出しにした。

 監督に就任した08年以降、現在J1にいるクラブで勝ったことがないのは清水だけ。広島、鳥栖にもJ1リーグ戦では未勝利だが、J2時代やナビスコ杯では勝利している。今季はホームに迎えた5月の対戦を0-1で落とし、開幕10戦目にして初黒星。昨季も開幕からの不敗記録を13戦目にして止められた。それだけに「清水の時は何か勝てないんだよな」と首をひねる。

 因縁は、青森・五戸小時代にまでさかのぼるという。「静岡には負けられない!」と、サッカー王国へ対抗心を燃やして幼い頃から練習に励んだ。五戸高では3年連続で全国選手権に出場し、3年時の85年度大会では8強に進出。しかし、準々決勝で敗れたのが清水商だった。サッカー人生で立ちはだかってきた、もはや仇敵(きゅうてき)と言ってもいい。

 それでも“6度目”へ自信はのぞかせた。「(10年まで清水を率いた)長谷川健太さんには勝てないと思ったけどね。ゴトビ(監督)になってゲーム内容も一進一退になってきている」。敵地清水で長きにわたった因縁に決着をつけ、頂上への道筋をつける。【亀山泰宏】