<J1昇格プレーオフ準決勝:横浜FC0-4千葉>◇18日◇ニッパ球

 一発勝負のプレーオフで、千葉FW藤田祥史(29)が古巣相手に“恩返し”の2得点を挙げた。リーグ戦5位の千葉は同4位の横浜FCと対戦し、快勝。昨季まで横浜FCに在籍した藤田は前半35分に先制点、後半13分にも追加点を奪い、チームに勝利をもたらした。千葉は23日に行われる決勝で大分と対戦。引き分け以上で、09年以来のJ1昇格が決まる。

 黄色に染まったスタンドへ、藤田は真っ先に向かった。「あとひと踏ん張りのところで、アウェーでも来てくれたサポーターが後押しになった」。大舞台だからこそ喜びも大きかった。

 前半35分、MF佐藤勇からの縦パスを相手GKと競り合い、こぼれ球を拾って左足で先制点。さらに後半13分、強烈な左足シュートでダメ押しの3点目も奪った。昨季まで所属した横浜FC。育ててくれた古巣に、成長の跡を見せつける“恩返し”の2得点。試合後はかつての仲間と言葉を交わし、「一緒にプレーしたメンバーが悲しむ顔は見たくなかった」と話した。

 もう1つ、プロ入りのきっかけを与えてくれた千葉の神戸GMへの“恩返し”もあった。同GMが名古屋のスタッフだった時に、立命大に在籍していた藤田にいち早く注目。練習生として迎え入れ、その後のプロ入りの道筋をつけた。同GMは「当時から、得点力のあるFWだった」。そして今季、その恩人のもとで「昇格」という目標にあと1勝と迫った。

 昨季は横浜FCで31試合3得点だったが、今季は36試合15得点とチーム得点王。リーグ全体でも得点ランク4位の大活躍だ。また、千葉は今季の総失点は33とリーグ最少を誇り、この日で4試合連続の完封。藤田は「前が点を取れば、後ろはしっかりしている」と揺るぎない自信を口にする。

 J1昇格をかけ、次は大分との決戦だ。京都から4得点した「デカモリシ」に対抗し、「僕も次は3点取りたい。1点でも多く決めて、目立ちたい」。千葉のエースとして、強烈な自負を見せた。【保坂恭子】

 ◆藤田祥史(ふじた・よしひと)1983年(昭58)4月13日、兵庫県神戸市生まれ。西神SCでサッカーを始め、神戸ジュニアユースへ。神戸国際大付、立命大を経て、06年から鳥栖。大宮、横浜FCを経て千葉。家族は夫人と長男。185センチ、74キロ。血液型AB。