日本代表FW前田遼一(31)を擁する磐田はリーグが開幕する今日2日、アウェーで名古屋(午後2時、豊田スタジアム)と戦う。前田がリーグでシーズン初ゴールを決めた相手が07年以降、6年連続でJ2に降格している話題が過熱している。名古屋がジンクス回避のお守りを販売する計画を立てながら、白紙に戻すなど、例年に増してピッチ外が騒がしくなってきた。前田は冷静に「去年以上」の目標を掲げ、得点だけに集中して開幕を迎える。

 4年連続でチーム最多得点のエースは「去年(13得点)以上」の目標を掲げた。開幕を直前に控え、特に周囲が騒がしい。昨季、前田の初ゴールはG大阪戦だった。リーグ創設時からの加盟クラブは降格し、前田がシーズン初ゴールした相手チームは6年連続でJ2落ち。一部で「デスゴール」と呼ばれ、一気に話題は広まった。

 開幕戦で当たる名古屋は、ジンクス回避のため、お守り販売計画を立ち上げた。ただ、リーグには筋を通した名古屋だが、磐田に対して事前に説明しておらず、磐田に謝罪し、結果的に計画はお蔵入り。こうした騒動も、前田のシーズン初ゴールが大きな関心を集めているからだ。

 前田は「僕としてはやめてほしい感じです。その中でもゴールを決められたらいいなと思いますけど。そういう話は関係なしに、ゴールを決めることが大事」と、冷静に話した。森下仁志監督(40)も「まず、遼一に対して失礼。性格的にも自分のために、チームのために献身的にプレーする選手ですから」と、気づかい「去年、遼一は札幌との初戦で(得点を)取れなかった。でも、いち早く降格したのは札幌だし、それを言い出すと札幌がなぜ降格したかという話になる。それだけで決まるなら、毎日練習する必要もないし。相手に対しても失礼な話題」と、言葉を並べた。

 チームは今季「3-5-2」の新オプションに取り組む。前田は「去年の1トップに比べ、自由に動き出せるようになったので、やりがいがあります」と話す。前田のJ通算得点は128で現在3位。去年以上の得点なら、2位の三浦知良(46=横浜FC)の139を超える。本人は記録に「あまり考えてない」と話し、あくまで静かに、ペースを乱さず開幕を迎えようとしている。【岩田千代巳】<その他のJリーグ都市伝説>

 ◆オレンジの奇跡

 オレンジ色がチームカラーのクラブはJ2に落ちない。新潟は昨年、33節まで降格圏内の17位だったが、最終節の勝利で奇跡的に残留。04年のJ1昇格以降、J2降格を1度も経験していない。毎年のように残留争いに巻き込まれている大宮も05年から、清水も93年のリーグ創設時からJ1に在籍し続けている。

 ◆不吉なJカップ戦王者

 08年のナビスコ杯を制した大分が翌年J2に降格。09年優勝の東京も翌年J2に転落した。05、06年と2連覇した千葉は現在J2。07年優勝のG大阪も今季J2で戦う。

 ◆昇格初戦に勝てば

 開幕戦は全34試合のうちの1試合ではない。J2が創設された99年以降、J1昇格初戦で勝利した過去9チームはいずれもJ1残留。J1に昇格したばかりで苦戦が予想されるが白星スタートを飾るとJ2には落ちない。