<ナビスコ杯:大宮0-2磐田>◇1次リーグ◇20日◇NACK
磐田がアウェーで大宮を下し、今季公式戦初勝利を飾った。前半7分にFW金園英学(24)のヘディングシュートで先制。同22分には今季初先発のMF山本康裕(23)がMF山田大記(24)のパスを落ち着いて決め、勝利を引き寄せた。山本康にとって、キャンプ中に亡くなった父にささげるゴールでもあった。
おやじ、やったよ-。1-0でリードした前半22分、MF山田が中央でボールを持った瞬間、山本康は「来る!」とパスを予期していた。絶妙なタイミングで飛び出し右足でゴールネットを揺らした。「うまく冷静に流し込むことができた。大記君のボールがすごく良かったので、入れさせてもらった感じです」。
鹿児島キャンプ中の2月6日、父祐彦(まさよし)さんが55歳で急死した。幼いころから試合に足を運んでくれた。直接ほめられたことはなかったが、母を通じて父が喜んでいる様子は聞いていた。「サッカーをしている姿をもっと見せてあげたかった。父と母の間に生まれてきてよかったとすごく思うし、それを言葉で伝えてあげられなかったことが残念だった」。以来、スパイクには両親の名を刻んでピッチに立っている。ゴールを決めた瞬間、少しだけ天を仰いだ。「父はまだ僕のところにいてくれると思うし、そういう思いを持ちながら戦ったし。今日、お父さんから力もらったので。2人で戦った試合でもあるし、2人で勝ち取ったゴールでもある。父に『やったよ』と、いい結果を報告できて良かった」。
キャンプを離れ、出遅れたが「きっとおやじが力をくれると思う」と、合流後も積極的にゴールに向かう姿勢を貫き、16日の横浜戦でベンチ入りをつかんだ。この日は初めて先発に名を連ね、決定力を存分に発揮して森下仁志監督(40)の起用に応えてみせた。サポーターから浴びた「康裕コール」。山本康は「結果を出せたことは良かったけど、点を取った以外、目立ったことはしてない」と自分に厳しかったが、天国の父はきっと「よくやった」とほめてくれたに違いない。【岩田千代巳】



