<J2:札幌3-0福岡>◇第23節◇7日◇札幌厚別

 荒野弾で厚別3連勝!

 J2札幌が福岡に勝利した。1-0の前半38分にMF荒野拓馬(20)がプロ初得点を決めると、同45分には3点目を挙げ6月22日の岐阜戦以来3戦ぶり白星に貢献した。札幌工高2年の10年に17歳6カ月4日のクラブ最年少デビューを果たした若武者が、4年目にして待望の1発をマーク。札幌厚別では、99年以来14年ぶりの3連続完封勝利を呼び込んだ。

 荒野が鮮やかな抜け出しから待望のプロ1号をたき込んだ。まずは1-0の前半38分、DF松本の左クロスに反応するとゴール前に飛び込み右足でシュート。同終了間際の同45分には、MF岡本の縦パスに抜け出して、GKの位置を見極め冷静に右アウトサイドでゴール右隅に流し込んだ。

 「アシストが良かった。点が取れない中、信頼して使ってくれた財前監督に感謝したい」。6月29日の群馬戦、3日の徳島戦と2戦連続、サイドハーフで先発も連続野完封負けを喫した。財前監督は腰の張りで欠場となった内村の代役として荒野をトップ下に配置換え。FW三上を1トップに据えたユース出身コンビの前線を初めて試し、3戦ぶり白星をもたらした。指揮官は「荒野は三上といい関係でやれていた。相手の背後をとる素晴らしいプレーをしてくれた」と喜んだ。

 スポーツ一族のDNAが、また1つ花開いた。今年、駒大からドラフト1位でプロ野球DeNAに入団した白崎浩之内野手(22)は、またいとこ。1年目ながら1軍経験もある3学年上の“アニキ”の活躍は常に意識している。「同じプロとしてトップでプレーする人の存在は刺激。負けていられない」。親戚には夏の高校野球南北海道大会に出場する札幌日大エース白崎塁(3年)もいる。15日から始まる同大会を前に、まず荒野が、景気づけのマルチ弾でスイッチを入れた。

 まだまだ上を見ている。前半25分に上原の右クロスに合わせたドンピシャのヘッドはGKに阻まれ、05年清野以来8年ぶりのハットトリックはお預けとなった。「うれしくて夢の世界だが、ここで満足してはいけない。またトレーニングからしっかりやっていかないと」。通算20戦目でつかんだ手応えを、大爆発への糧にしていく。【永野高輔】