J2札幌は11日、長崎GK金山隼樹(25)を完全移籍で獲得したことを発表した。金山はこの日、札幌市内のクラブ事務所を訪れ、正式契約を結んだ。今季は長崎で39試合に出場し、リーグ最少40失点でJ2昇格チーム初のプレーオフ進出に貢献。札幌では背番号1を背負うことが濃厚で、まずは正守護神の座を勝ち取り、J1昇格へ向けたDF強化のキーマンになる。

 待望の正守護神候補がやって来た。金山はこの日、札幌のクラブ事務所で正式契約。来季のホームスタジアムとなる札幌ドームを前に「環境を変えることで、自分が成長できると信じている。ゼロからのスタートとして、チャレンジしていきたい」と意気込んだ。

 長崎とは来季も契約が残っていたが、札幌のサッカーに強く魅力を感じ、移籍を決めた。「札幌は後ろからつないでいくサッカーというイメージ。前に速い選手もいる。1本のパスで打開することもできる」。ゴール前での守備能力だけでなく、自分のキックでチャンスメークするなど、攻守両面での活躍を新天地の目標に掲げた。

 長崎躍進のキーマンだ。4月21日の直接対決で赤池GKコーチが直接プレーを見て、フロントに来季GK補強の第1候補として進言した。それから1日のプレーオフ準決勝までの約7カ月、コンスタントに金山のプレーをチェック。JFLから昇格したばかりの長崎が、シーズンを通して、ほぼプレーオフ圏をキープしてきたポイントが金山の存在にあると判断し、リーグ最少40失点の守護神にオファーを出した。

 「キック精度も、シュートストップの部分もいい。伸びしろもある」と同コーチ。今季は第2GK曵地の負傷などもあり、新人の阿波加やU-18の種村を公式戦でベンチ入りさせるなど苦慮した。それだけに三上大勝GM(42)も主力GK3選手を挙げ「杉山、金山、李の3人の誰が出てもやれるという状況をつくれる」と、来季の戦力アップに手応えを示した。

 前日10日のJリーグアウォーズ会場では野々村芳和社長(41)とも会談し、来季の活躍を誓った。「ミスをしても笑顔なのが自分の特長。でも、ふざけてるわけじゃない。常に明るくやれるのが特長。J1経験のあるクラブでやってみたかった。ここで勝負したい」。爽やかな25歳が、最終ラインからチームをもり立てる。【永野高輔】

 ◆金山隼樹(かなやま・じゅんき)1988年(昭63)6月12日、島根県生まれ。04年に広島ユース入りし、05年高円宮杯全日本ユース4強。07年に立命大へ進学し、当時JFLの長崎の入団テストを受けて11年から加入。昨季JFL優勝とJ2昇格に貢献し、今季は正GKとしてプレーオフ進出に導いた。JFL通算9試合、J2通算39試合出場。186センチ、80キロ。利き足は右。