<J1:甲府3-3G大阪>◇第21節◇23日◇中銀スタ

 日本代表復帰を狙うG大阪FW宇佐美貴史(22)が衝撃ゴールを挙げた。甲府戦の後半3分に右足でミドル弾を豪快に決めた。28日の新生日本代表メンバー発表前最後の一戦。試合は引き分けたが、アギーレ監督へ強烈なアピール弾を放った。

 目の覚めるような1発だった。1点を追う後半3分、中央にいた宇佐美がMF遠藤からボールを受けた。DFの追走をかわすように斜めに走りだすと、右足でシュートを放つ。ボールは弾丸ライナーで吸い込まれた。あまりの豪快弾に、甲府まで足を運んだG大阪サポーターさえ黙り込んでしまった。会場を包み込んだ静寂が、すさまじいゴールを物語っているようだ。

 「25~30メートルのシュートはむしろ打ちやすい。意表を突きやすいし、相手は『まさか、あそこから決めんやろ』と考えていたと思う。斜めに走って駆け引きしながら、ブロックしにくいポジション取りをした。あの辺から決める自信はある」

 天皇杯徳島戦に続く、公式戦2戦連発のミドル弾だ。開幕前、左腓骨(ひこつ)筋腱(けん)手術で出遅れたが今季J1で6点目。今年のW杯でメンバー入りできなかった悔しさを反骨心に変え、中断明け後は公式戦9戦7発と量産する。この日は日本協会の霜田技術委員が視察。アギーレジャパンの初陣となる9月の親善試合2連戦のメンバー発表に向け、これ以上ないアピール弾になった。

 ガッシリした体格になったことが、点が取れる秘訣(ひけつ)だ。地道な筋力トレーニングの成果が実り、当たり負けせず、シュートの際にも体重がかかるようになった。「筋トレは結構、しています。あまりシュート練習はしないけど、いい感じで重心が乗るようになって、自然と(ミドルの)コツをつかんだ」。天才肌の男が、点を取るコツをつかめば鬼に金棒だ。

 「(代表を)気にしないことはない。入るために努力はしていますし、たとえ選ばれなくても、選ばれても、継続して続けていけば、必ずチャンスは来る」

 19歳だった11年5月に初のA代表入り。今も、左足首には代表復帰への強い願いを込めた日の丸のミサンガを着けている。結果は残した。後は吉報を待つだけだ。【益子浩一】

 ◆宇佐美貴史(うさみ・たかし)1992年(平4)5月6日、京都府生まれ。G大阪下部組織から高2時にトップ昇格。11年Bミュンヘン、12年ホッフェンハイム移籍。13年途中から当時J2の古巣G大阪に復帰。J1通算56試合17得点。178センチ、69キロ。