J2札幌バルバリッチ監督(52)の来季続投が濃厚であることが15日、分かった。チームはこの日、福岡に引き分けプレーオフ(PO)進出の可能性が消滅したが、クラブでは細かいコンセプト注入で、就任後4勝5分け2敗と安定した成績を残した手腕を評価。契約延長オファーを出す方針を固めた。同監督も札幌での指揮継続に前向きで、条件面の詰めが済み次第、正式に決定する。

 目標達成はならなかったが、内容を評価しての判断となった。バルバリッチ監督は9月に途中就任。当時12位のチームを3バック移行など、新たな取り組みで成長させ、11戦2敗という安定した成績で、PO圏争いに絡ませた。この日、福岡戦で引き分け、終戦が決まったが、札幌サイドは結果以上に手腕を評価。クラブ幹部は「続投方針は、ほぼ固まっている。あとは監督サイドの意思次第」と話した。

 具体的な交渉はこれからだが、PO進出消滅を受け、近日中に続投オファーを出す。9月の契約時、POに進出した場合の契約延長オプションをつけることを提案したが、同監督は「結果を出すまでは必要ない」と固辞していた。だが、POを逃した責任を感じながら、それ以上に来季の雪辱に向けた意思が強く、同監督自身は指揮継続には前向き。条件面で折り合えば、正式に決定となる。

 クラブでは指導手腕だけでなく、チーム内の影響力も加味した。来日前、スタッフや選手の間では、外国人監督とのコミュニケーションのギャップなどを心配する声が上がっていたが、実際に対面した印象の穏やかさや、練習前の丁寧な説明もあり、距離感は縮まった。

 正式に続投が決まり次第、指揮官の意見を反映した戦力補強プランを検討する。野々村社長は「この結果しか出せなかった戦力しか用意できなかったというのは社長としての力不足。勝つ確率を、どう上げるか考えたい」と言った。早々に体制継続を決め、来季につなげる。

 ◆イヴィッツァ・バルバリッチ

 1962年2月23日、クロアチア生まれ。現役時代はDFとして、旧ユーゴスラビアのヴェレージュなどでプレーし、88年に旧ユーゴスラビア代表選出。イビチャ・オシム監督の下、同年のソウル五輪に出場した。97年のアルメリア(スペイン)を最後に引退。同年から指導者の道を歩み、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表コーチなどを歴任し、09年途中から12年までJ2愛媛を指揮。9月に財前監督の解任を受け、札幌監督に途中就任した。