<J2:札幌1-1磐田>◇最終節◇23日◇札幌ド

 磐田はアウェーで札幌に引き分けた。リーグ4位でJ1昇格プレーオフ(PO)進出が決まった。0-1で迎えた後半残り10分、名波浩監督(41)の秘策が的中。パワープレーでFWに上がったMFフェルジナンド(34)の同点弾で連敗を免れた。3位から4位に落ち、昇格にはPOを2試合戦う厳しい道になったが、勝ち点1を前向きにとらえ、30日の山形との準決勝(ホーム、午後1時)に臨む。

 名波監督の采配が的中した。21日の紅白戦でパワープレーを想定、ボランチが本職のフェルジナンドを前線に上げる布陣を試していた。0-1で残りは10分、新布陣がベールを脱ぐ。各選手が想定通りにロングボールを入れ続けると後半38分、CKからフェルジナンドが頭で合わせ同点に追いついた。

 チーム最多の6本のシュートを放ったフェルジナンドは「負けなかったことは非常にうれしい」と振り返り「リーグの順位はもう関係ない。今こそ全選手が1つになって、J1昇格の目標を達成すること。それしか考えていない」とPOに気持ちを切り替えた。

 今週、名波監督から「ヘディングが強いし、前で使ってみたいけど問題はないか」と相談された。前節山形戦で左手を突き指し「GK以外ならどのポジションでもやれます」とジョークを交えて即答した。8年前、ブラジル・ビトーリアでFWを務めた助っ人がしっかり役目を果たした。

 勝利ならばリーグ3位が確定した。3位のPOは決勝の1試合だけで、引き分け以上で昇格するアドバンテージがある。今季は逆転勝利がないチームにとって3位は死守したかったが、千葉に抜かれ4位で終えた。だが、MF松井大輔(33)は「負けてPO行くのと引き分けで行くのとは気持ちも違う。追いついたことをポジティブにとらえたい」。山形戦は引き分け以上で決勝に進出できる。ホームの利を生かし、決戦の地、味の素スタジアムまでたどり着くしかない。【岩田千代巳】