マインツFW武藤嘉紀(23)がスピード強化の秘密特訓を行った。12日、都内で陸上200メートルハードルのアジア記録保持者、秋本真吾トレーナー(34)の指導を受けた。欧州2年目の開幕を前に、もう1ランク上を目指すためのトレーニングの様子を単独キャッチした。

 武藤自身がそのスピード感に一番驚いていた。「自然とももが上がって、スピードも上がる。無駄なく走れば疲れも出ない。7割の力で今までのスピードを出して、効率よく走ることができれば、けがのリスクもなくなる。90分走り切れる力は自分にとってプラスになる」。わずか約2時間の秘密特訓で今まで味わったことがないようなスピードを体感した。欧州2年目を前に、もう1ランク上を目指すヒントを得た。

 つま先を上げ、肩の力を抜いて腕を振る。シンプルな走り方だが、それができていなかった。「リラックスして力を抜くことができていなかった。それは自分の課題でもある。より速く走ることを考えてきた人の意見はすごく貴重」。200メートルハードルアジア記録保持者の秋本トレーナーから助言を受け、タブレット端末で撮影した動画を何度も見返しては修正した。

 目に見えてスピードも上がる中で、秋本トレーナーから「ふくらはぎの筋力が足りない。それがないとかかとが(地面に)落ちて、非効率になってしまう」と指摘を受けた。スピードを武器にしながら、ドイツで痛感していたことがあった。「DFの裏に抜けたとき、初速はあるんだけど、最後に追いつかれることがあった。追いつかれずシュートまで持っていければ、プレーの幅も広がるし得点も増える」と課題克服にオフを費やす。

 後半戦を右膝外側側副靱帯(じんたい)損傷で棒に振りながら7得点で終えた1年目。「まだまだ伸びしろはある」と武藤。もうひと回り大きく成長してピッチに戻る。【栗田成芳】