あと約3週間で終わりを迎える今季のスペインリーグもすでに33節が終了し、残るは5節、勝ち点15のみとなった。

シーズンも佳境を迎える今、優勝争いはほぼ決まっているため、気になるのは欧州カップ戦出場権争い、そして残留争いの行方だろう。そこでまずは、来季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場が決定的な上位4チームの動向を追っていきたい。

2026年4月25日、ヘタフェ戦で先制ゴールを決め、喜びを爆発させるバルセロナのフェルミン・ロペス(ロイター)
2026年4月25日、ヘタフェ戦で先制ゴールを決め、喜びを爆発させるバルセロナのフェルミン・ロペス(ロイター)

■バルサ挑む勝ち点100大台

首位バルセロナ(勝ち点85)の2連覇はほぼ間違いない。フリック監督のアイデンティティーとも言えるハイラインは時に高い代償を払い、欧州CLでは準々決勝敗退の憂き目にあったが、リーグ戦ではシーズンを通じて攻守ともに最も安定したチームとなっている(87得点30失点はともにリーグトップ成績)。

新加入のGKジョアン・ガルシアがスペイン代表デビューを果たすほどの活躍を見せ、中盤ではペドリが圧倒的な存在感を放ち、前線ではヤマル、フェラン・トーレス、レバンドフスキ、ラフィーニャの4人が二桁得点を記録。

2位との勝ち点差は11あるが、過去にこの差を逆転したチームは存在しない。現在9連勝中で、早ければ第34節オサスナ戦で優勝が決定する。さらに残り5試合すべてに勝利した場合、スペインリーグ史上2回しか達成されていない勝ち点100の大台に到達する。

2026年4月24日、ベティス戦でのレアル・マドリードのエムバペ(ロイター)
2026年4月24日、ベティス戦でのレアル・マドリードのエムバペ(ロイター)

■レアル16年ぶり2季連続無冠に

2位につけるレアル・マドリード(勝ち点74)は、新監督にシャビ・アロンソを招聘(しょうへい)し、夏の移籍市場で補強にリーグトップの1億7900万ユーロ(約331億1500万円)を費やすも、けが人続出や監督と選手の確執があり、エムバペとビニシウスの共存がうまくいかなかった。1月に監督をアルベロアに交代したが、状況は大きく変わらず、勝ち点を取りこぼし、欧州CLは準々決勝で敗退し、16年ぶりとなる2季連続の主要タイトル無冠が濃厚となっている。

3位ビリャレアル(勝ち点65)は今季、ビッグ3に割って入る存在となっている。健全経営を維持しつつ、「売却して投資する」という方針の元、夏の移籍市場でバエナ、ジェレミ・ピノ、バリーなどの主力を売却した一方、補強にスペインリーグ3番目の1億ユーロ(約185億円)を投資した。欧州CLは新加入選手の不振や決定的な守備のミスなどにより、1勝もできず1次リーグで敗退したが、リーグ戦ではホームを要塞(ようさい)化し、安定したパフォーマンスを発揮。突出した得点源は存在しないが、3番目に多い59ゴールを挙げている。勝ち点が78に到達した場合、2位でフィニッシュした07−08年シーズンのクラブ史上最多勝ち点記録77を上回ることになる。

4位アトレチコ・マドリード(勝ち点60)は昨夏、Rマドリードにつぐ1億7800万ユーロ(約329億3000万円)を費やし、メンバーの約3分の1を入れ替える大改革を実施。シメオネ監督は序盤、チーム作りに難航し、前半戦を終えた時点でリーグ優勝の可能性はほぼ失われたが、冬に3500万ユーロ(約64億7500万円)で獲得したルックマンの加入が的中し、欧州CLで9季ぶりに準決勝進出を果たしている。

レアル・ソシエダード久保建英(2024年7月撮影)
レアル・ソシエダード久保建英(2024年7月撮影)

■RソシエダードCL可能性残す

スペインが来季再び欧州CLの出場権を5枠獲得した場合、最後の1枠は前線にアントニーやアブデなどの優れた選手を擁する5位ベティス(勝ち点50)が有力視されている。

久保建英が2度のけがに苦しんだ8位レアル・ソシエダード(勝ち点43)は、昨年末のマタラッツォ監督就任とともに大きく飛躍し、国王杯優勝ですでに来季の欧州リーグ出場権を手にしているが、3季ぶりの欧州CL復帰をまだ諦めていない。そのためには、9日のベティスとの直接対決に必ず勝つ必要がある。

6位ヘタフェ(勝ち点44)と7位セルタ(勝ち点44)も欧州CL出場の可能性を残しつつ、欧州リーグと欧州カンファレンスリーグの出場権1枠を、9位オサスナ(勝ち点42)、10位ビルバオ(勝ち点41)と争うことになりそうだ。

11位ラヨ・バリェカノ(勝ち点39)は欧州カンファレンスリーグ決勝進出に王手をかけており、優勝した場合は来季の欧州リーグ出場権が与えられる。この場合、スペインの欧州リーグ出場権は計3枠となる。さらに、欧州CL出場権を5枠獲得し、欧州カンファレンスリーグの1枠を含めると、来季の欧州カップ戦に9チームが参加することになる。

2026年4月24日、試合終了後にレアル・ベティスのマルク・ロカ(左)とレアル・マドリードDFリュディガーが激しくぶつかる(ロイター)
2026年4月24日、試合終了後にレアル・ベティスのマルク・ロカ(左)とレアル・マドリードDFリュディガーが激しくぶつかる(ロイター)

■名門セビリア17位で降格危機に

残留争いに目を向けると、現時点で降格が決定したチームは存在せず、近年まれに見る大混戦となっている。現在降格圏に沈むのは、今季昇格した最下位オビエド(勝ち点28)と19位レバンテ(勝ち点33)の2チーム。そして、近年深刻な財政難に陥っている18位セビリア(勝ち点34)。欧州リーグ最多7度の優勝を成し遂げているこの名門クラブが2部に降格した場合、99−00年シーズン以来26年ぶりの事態となる。

スペイン紙マルカは、10位ビルバオ(勝ち点41)から最下位オビエド(勝ち点28)までの11チームに降格の可能性があると予想。両チームの勝ち点差は13だが、残り5節で10位と最下位の差が今季よりも少なかったのは、21世紀に入ってからわずか1シーズンしかない。

■残留へ勝ち点39ボーダーライン

降格圏一歩手前となる17位の過去5シーズンの平均勝ち点は39だが、現在の密接した状況を踏まえると、今回はそれよりもボーダーラインが高くなる可能性が非常に高い。

その中で、浅野拓磨が度重なるけがに苦しんだ17位マジョルカ(勝ち点35)との勝ち点差が7も開いているオビエドは、2部落ちが濃厚だ。一方、セビリアはわずか勝ち点1差、レバンテは勝ち点2差しかないため、毎節順位の入れ替わるスリリングな戦いが繰り広げられることになるだろう。

残留圏のチームで特に気になるのは、16試合連続勝利なしという未曽有の状況に陥っている13位エスパニョール(勝ち点39)。前半戦で稼いだ勝ち点のおかげでまだ余裕はあるものの、この悪い流れをできるだけ早く断ち切らなければ、降格圏のチームに追いつかれる可能性は十分にある。

今季のスペインリーグ閉幕まであと少し。残り5節で各チームにどのような結末が待っているか、最後まで目が離せない。【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)

2026年4月29日、チャンピオンズリーグ準決勝第1戦終了後、アーセナルのミケル・アルテタ監督とあいさつするアトレチコ・マドリードの選手たち(AP)
2026年4月29日、チャンピオンズリーグ準決勝第1戦終了後、アーセナルのミケル・アルテタ監督とあいさつするアトレチコ・マドリードの選手たち(AP)