<スコットランドリーグ:セルティック7-0セントミレン>◇2月28日◇グラスゴー

 【グラスゴー(英国)=アンソニー・マッカスカー通信員】セルティックMF中村俊輔(30)が、09年初得点を含むハットトリックの大活躍をみせた。セントミレン戦で、右MFとして先発出場。攻撃陣を引っ張るだけでなく、自らも積極的にゴールに迫り、スコットランドリーグ2度目の1試合3得点を挙げた。チームも7-0で、4試合ぶりのリーグ戦白星。今年に入ってわずか1勝だった不振のチームを、一気に上昇気流にのせた。

 貯金をまとめておろすように、中村が立て続けにゴールを決めた。まずは前半16分、ドリブル突破の勢いそのままに、体を投げ出しながら、豪快にミドルシュートを放った。振りぬいたのは、まさかの右足。それでも十分な威力を持った一撃は、虚をつかれた相手GKのグローブをはじき、ゴールネットを揺らした。

 昨年11月22日の同カード以来、約3カ月ぶりの歓喜の瞬間。だが中村は満足するどころか、さらに意欲的にゴールに迫った。同35分には狙い済ました左足シュートを、ゴール右隅に流し込んだ。締めは得意の左足FK。後半13分。右サイドから、弧を描く一撃を、ネットに深々と突き刺した。右、左、FKの“サイクルハット”。ホームの大観客も、豪雨のように称賛の拍手を浴びせた。

 今年は右足付け根のケガなどもあり、得点から遠ざかった。初得点までかかった10試合は、渡欧した03年の12試合につぐ遅さ。チームも中村に歩みを合わせるように、最近5試合で1勝3分け1敗と失速し、2位に後退していた。

 この日は待ちに待った今季初得点だけでなく、06年10月14日のダンディーU戦以来、約2年半ぶりのハットトリック。司令塔の大活躍は、悪い流れを断ち切るのに十分なインパクトがあった。MFのS・ブラウンも2得点で続いた。チームは大量7得点で快勝した。

 この日の現地朝刊各紙に、S・ブラウンの「中村のクラブ残留が今の一番の望み」というコメントが載ったばかり。周囲の絶大な信頼に、中村がすぐさま「3発回答」で応じた。

 [2009年3月1日9時15分

 紙面から]ソーシャルブックマーク