<高校総体:競泳>◇19日◇岩手・盛岡市立総合プール

 入江2世が、打倒入江に名乗りを上げた。近大付(大阪)の大山佳祐(3年)が男子200メートル背泳ぎで初優勝した。100メートルでトップに立ち、2位以下を2秒以上引き離して2分0秒34でゴールした。世界選手権銀メダリストの入江陵介(21)を目標に、来年のロンドン五輪出場を狙う。7月28日に開幕した大会は今日20日に閉幕する。

 入江ばりの高い位置からのスタートで、大山は力強く飛び出した。グイグイと前に出る泳ぎで、2位以下を引き離す。150メートルのターン(1分29秒44)を確認して「2分は切れると思った」が、逆に力んでか届かず。それでも2分1秒12の自己ベストを更新する初優勝。タイムには「がっかりした」と話しながらも、昨年4位だっただけに「優勝はうれしい」と笑った。

 7月の上海世界選手権100メートル背泳ぎで銅、同200メートルで銀メダルを獲得した入江は同校の4年先輩、同じイトマンSSで練習をする。「練習時間が違うけれど、会えばあいさつはします。偉大な人なんで緊張するけど」と笑う。「目標の人」も「尊敬する人」も入江。「世界選手権は刺激になりました。自分も入江さんのようにメダルがとりたい」と目を輝かせた。

 流れるような入江の泳ぎとは対照的に、キック力を生かして力強く前進するスタイル。以前はバタフライの選手だっただけに「そのくせが抜けないのかも」という。それでも、最近は上体のブレがなくなり、入江の特技でもあるペットボトルを額に乗せての泳ぎもできるようになった。

 自慢のキックは「誰にも負けない」と豪語し、将来の目標に「入江さんを倒して五輪に出る」を挙げた。「今はまだ、一緒に練習もできない。まず、自分が国際大会派遣選手が所属する(イトマンSSで)一番上のクラスに上がらないと」と話す。それには、まず高校時代の入江を超えることが必要。今年の目標も「入江さんの高校記録(1分56秒53)を破ること」と言い切る。残されたチャンスは25日からのジュニアオリンピックと来月の国体だけ。それでも、大山は「必ず切る」と力強く言った。【荻島弘一】

 ◆大山佳祐(おおやま・けいすけ)1993年(平5)5月22日、京都府生まれ。3歳から水泳を始めたが、当初はバタフライが専門。12歳の時に背泳ぎに転向すると、すぐに50、100メートルの学童記録を樹立。京都・桂川中では全国中学大会2冠など中学記録を連発した。昨年の高校総体は100メートルが優勝で200メートルが4位。173センチ、59キロ。