日本女子短距離のエース小平奈緒（３０＝相沢病院）が自身の国内最高タイムと同じ３７秒７５で優勝し、開幕から３連勝を飾った。前週の開幕戦ハルビン大会に続き、五輪連覇の李相花（韓国）を抑えての連勝。五輪種目のＷ杯３連勝は黒岩彰、清水宏保に続く日本人３人目、女子では初の快挙となった。

　個人メダルを狙った２度目の五輪、ソチ大会は女子５００メートル５位。昨季まで２年間、ソチ大会で２４個のメダルを獲得したオランダに拠点を移し、多数の金メダリストからアドバイスを受けてきた。１年目の１４年度はＷ杯総合優勝。「ＢＯＺＥ　ＫＡＴ（怒った猫）」のニックネームを得た。怒った猫は背中を丸め、鋭く相手を威嚇する。この日もそのニックネーム通り、最後まで低い姿勢を保ちながら、勢いよくフィニッシュした。

　オランダ１年目とは対照的に２年目は乳製品のアレルギーで体調を崩し、総合１１位と低迷。最高は６位と表彰台には１度も上れなかった。「昨年は傷だらけだったが、自分の道を作るためには、傷を伴う」。

　孤独に耐えながら、地道に練習を続けた。４月に帰国すると、筋量を増やしながら、脂肪を１・２キロ落とす。体のキレは増し、開幕からの３連勝につなげた。「（３連勝の）重圧はない。上しか見ていない」。３大会目の大舞台となる１８年平昌五輪へ、大きな弾みをつけた。