ノルディックスキー・ジャンプ女子で2月の世界選手権銀メダルの伊藤有希(22=土屋ホーム)が、V締めで来季の18年平昌五輪へ向かう。今日18日、伊藤杯シーズンファイナル大倉山ナイターが、札幌・大倉山ジャンプ競技場(ヒルサイズ=HS137メートル)で開催。今季はW杯で最終戦を制したのをはじめ5勝を挙げ、個人総合は自己最高の2位と一気に躍進した。シーズン最終戦で進化のジャンプを披露する。

 有希ちゃんは最後まで“ノリノリ”だ。伊藤は17日の公式練習で1回目121メートル、2回目127メートルとただ1人120メートル超えのジャンプをそろえた。14日にW杯最終戦のオスロ大会(ノルウェー)から帰国したばかりだが、その日にチームの監督も務める葛西紀明(44)宅に寄り、妻の怜奈さんの手作り弁当に舌鼓を打ち、今季ラストジャンプへのパワーをもらった。「ごはんに1枚460円ののりがのっているんです。すごくおいしかったです」と、「のり」と「紀明」をかけた“ノリ”パワーでV締めに挑む。

 最後まで貪欲に攻める。5勝目を挙げた12日のW杯オスロ大会(ノルウェー)で今季のW杯は終了した。18年平昌五輪のプレシーズンで、2月に前哨戦の世界選手権(フィンランド)もあり、体の疲労はピークを越えている。最終戦とはいえ、キャンセルし、来季に備えても何ら不思議はないが、帰国後の空港で「残りの試合できっかけをつかめることも十分ある」と「休養」の2文字は頭にない。

 おごりはない。今季はW杯で初勝利を挙げ、世界選手権で2大会連続の銀メダルを獲得した。さらに混合団体でビッグジャンプをそろえ、日本チームの2大会連続銅メダルに貢献した。昨季、2度しかなかったW杯の表彰台に11度も上がり、女王の高梨との2枚看板といわれるまで成長し、来年の大舞台での金メダルも視野に入れた。それでも「メダルは周りの人たちのおかげで取れたと思っている。アプローチ(助走路)のポジションだったりまだ改善すべきことはたくさんある。それを確かめたい」と話す。

 今季の最終戦だが「来季に向けての試合ととらえている」。今から大舞台にしっかりと照準を定めている。【松末守司】