<競泳:日本選手権>◇最終日◇18日◇東京辰巳国際水泳場

 立石諒(20)が59秒84で2連覇し、50、200メートルと合わせて3冠を達成。国際大会派遣標準記録1を突破しての優勝で、11月のアジア大会(中国)代表が決まった。

 立石が北島に「完勝」した。50、200メートルに続く3冠。この日の100メートルはターンで0秒12遅れたが、残り25メートルからじわじわ追い上げ、同10メートルで並び、そこからひと伸び、最後はタッチの差で逆転した。「少し焦った」と言いつつ、さわやかな笑みを浮かべた。

 当初は「代表落ちしてもしょうがない」と自信がなかったという。2月の短水路日本選手権で平泳ぎ3冠を達成しても「長水路とは違う。そんなに甘くない」と思っていた。だが、3月に米国に武者修行に出たことで、精神的に変わった。

 異国で1人、見知らぬ練習場に向かう時は、心細さもあった。北京五輪代表落ち後は、集中できない時期もあったが、水泳漬けになるしかなかった。「そんなちょっと甘い極限状態で練習できたのがよかった」。米国行きに協力してくれた家族や周囲への感謝の気持ちも生まれた。

 「気がついたのは、自分が負けず嫌いだってこと。今日も最後は『負けたくない』の一心で泳いだ」。大会前に上野広治競泳委員長が「もう北島1人に頼ってはいられない」と話したのを受けたように、その成長を見せつけた。「夏には自信を持って泳ぎたい」。口調に浮かれたところはなく、力強さがあった。【岡田美奈】