女王最大の敵は貧血だった。ロンドン五輪女子レスリング代表4人が29日、都内で明治の乳製品レシピ&新テレビCM発表に出席。27日のW杯で、ロシアの19歳に敗れて連勝が「58」で止まった55キロ級の吉田沙保里(29=ALSOK)は「だいぶ落ち着きました。たくさん、励ましのメールやブログでコメントをいただいて、応援してくださる人たちのためにも、ロンドンで最高の笑顔を見せたい」と気持ちを切り替えた。

 敗因の1つが判明した。前日28日、五輪に向けたメディカルチェックで、採血の結果「貧血」と診断された。医師に「一般女性より血圧がだいぶ低い。それでは勝てない」と諭されたという。もともと食が細く、貧血気味。「アテネ、北京五輪前の検査で分かっていたが(今回)だいぶ数値が低くなっていた」。鉄分の薬を処方してもらい、同時に毎日1リットル飲む牛乳などでカルシウムを摂取することで、難敵を追い出すつもりだ。

 「体調管理をしっかりしないとダメだと感じた。(敗れた19歳と)もしロンドンで戦えるなら、しっかり借りを返したい」。五輪3連覇に向けて、止めどなく流し続けた涙はもう追い出した。貧血とロシア選手への雪辱だけに燃えていた。【今村健人】