<テニス:全米室内選手権>◇22日◇米テネシー州メンフィス

 世界22位の錦織圭(23=日清食品)が、第1シード撃破で4強入りだ。同12位のマリン・チリッチ(24)を6-4、6-2の1時間12分で下し、今季開幕戦のブリスベーン国際に続くベスト4進出を決めた。この勝利で、25日に発表される最新世界ランキングでのトップ20返り咲きが確実となった。準決勝では同53位のマトセビッチと対戦する。

 ツアー9勝で、10年全豪4強の強豪に、あっさりとストレート勝ちだ。第2セットはわずか14ポイントしか落とさない完勝。最後は得意のフォアの豪打が決まると、錦織は右手でガッツポーズし「完璧な試合だった。とても満足している」と喜んだ。

 スタートから、ともにサービスキープに苦しんだ。しかし、最後に突き放したのは錦織だった。「リターンでプレッシャーをかけることができた」。6-4で先取すると、第2セットは一気に突っ走る錦織劇場。チリッチは、ラケットをコートでたたき折るなど、錦織の勢いにお手上げ状態だった。

 ただ、錦織も絶好調というわけではなかった。しかし、この勝利を「完璧」と喜んだ意味がある。チリッチとは過去2勝2敗。昨年の全米3回戦では、チリッチの武器の跳ねる第2サーブに手を焼き敗れた。この日は、その第2サーブをねらい打ち。うまく対応し、雪辱したことが「完璧」につながった。

 178センチと小柄ながら、錦織が勝てる武器に対応力がある。相手のプレースタイルを読み、それに適応していく能力が高い。父清志さんは「小さい時から、1度負けた相手に、2度と負けることは少なかった」という。世界のトップ相手では簡単には行かないが、この日は、その対応力が物を言った。

 1月の全豪は16強。昨年の8強から、1つだけ勝ち星を落とした。その後、左膝の炎症のため、今大会まで治療と回復に集中した。最高15位まで上がった世界ランクは現在22位。しかし、この日の勝利で、トップ20に復活することは確実となった。夢のトップ10入りに、再び挑戦するスタートを切った。

 [2013年2月24日9時8分

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