<テニス:全米室内選手権>◇24日◇米テネシー州メンフィス

 世界22位の錦織圭(23=日清食品)がツアー3勝目を1セットも失わない完全優勝で飾った。同47位で3度のウィンブルドン8強を誇るフェリシアノ・ロペス(31)に6-2、6-3で快勝。この日、発表された最新世界ランクでも、日本男子最高位(15位)に迫る16位に躍進。日本男子初のトップ10と、11月に行われる上位8人が出場できるツアー最終戦への出場が見えてきた。

 強く、速く、そしてかっこいい。たたきつけるフォアハンド。駆け抜けるフットワーク。殺到するファン。どれを取っても錦織の独壇場で、完璧なツアー3勝目を飾った。「最高のプレーができた。完璧だった」。2度目のマッチポイントを決めると、両手を突き上げ、ラケットを投げ捨てた。

 両セットともに、最初のロペスのサービスゲームを破り、最高のスタートを切った。自らのサービスゲームは1度も落とさず、最初から最後まで圧倒。「正直ここに来るか迷った時期もあった」という左ひざの炎症も「もう大丈夫」と、5試合を戦い全く問題がなかった。

 この1勝で、世界ランクは16位に復帰した。23歳は、トップ20でラオニッチの22歳に次ぐ若さ。錦織より上位15人は、すべて年上だ。しかし、ボティーニ・コーチは「18歳で初優勝した時よりも心技両面で大人になった」と、目を細める。関係者も「まだ若い。トップ10は確実」と絶賛だ。

 最新のトップ20の選手に限れば、ツアー3勝目を挙げた年齢は平均約22歳半と、23歳の錦織とほぼ同年齢だ。「これが当たり前じゃないといけない。いい意味で(優勝の)喜びも薄れてきた」と、世界のトップ同様に、優勝回数量産に手応えを感じている。

 今年は、マリーとフェレールに敗れただけで、まだ2敗しかしていない。過去52週の世界ランクは16位だが、今年だけに限れば5位となる。11月に行われるツアー最終戦は、トップ10と並んで、年末上位8人だけが出場できる超一流の舞台だ。「大きなステップ。次はトップ10を狙う」。夢は目の前に迫った。

 ◆全米室内選手権

 76年に始まったツアーの中でも伝統の一戦。過去の優勝者には、ボルグ(スウェーデン)マッケンロー(米国)エドベリ(スウェーデン)アガシ(米国)サンプラス(米国)ら、歴代世界王者、4大大会優勝者の名前が並ぶ。現在の大会の格は、昨年、錦織が優勝した楽天オープンと同じで、ATP500という優勝者が500点を獲得できる位置づけ。

 [2013年2月26日8時50分

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