国際バスケットボール連盟(FIBA)が設立するタスクフォース(特別チーム)に、日本サッカー協会最高顧問の川淵三郎氏(78)が入ることが17日、分かった。事実上のトップとしてFIBAから無期限の国際試合禁止処分を受けた日本協会の運営を指導していく。この日、来日中のFIBAのパトリック・バウマン事務総長(47)から要請を受けた。プロサッカーのJリーグを設立するなどしたリーダーシップと手腕で改革に乗り出す。

 バスケットボール界の改革へ白羽の矢が立ったのは、サッカーのJリーグを立ち上げるなど強烈なリーダーシップを持つ川淵氏だった。FIBAのバウマン事務総長は16日に来日すると、日本協会、日本オリンピック委員会(JOC)、文科省などを訪問。日本協会を指導、運営するFIBA直轄の特別チームのメンバーを選考してきた。17日には川淵氏とも会談、特別チーム入りを要請した。

 川淵氏は一連の問題に深くかかわってきた。日本サッカー協会最高顧問とともに、団体競技の活性化を目指す日本トップリーグ連携機構の副会長も兼務。6月には併存する男子トップリーグのナショナルリーグ(NBL)とTKbjリーグを同じテーブルに着かせるなど仲介役を務めた。話し合いが決裂し、FIBAから国際試合禁止処分を受けたことに落胆していたという。

 FIBAの日本協会改革の柱は(1)協会のガバナンス(組織統治)の強化(2)男子のNBLとTKbjリーグの統合(3)男女代表チームの強化体制の確立の3点。来年6月から16年リオデジャネイロ五輪予選が始まる。バウマン事務総長も「半年から1年の間に解決したい。あまり長く待ちたくない」と迅速な処分解除への努力を厳命した。

 早期解決は簡単ではない。トップリーグ統一に関して、日本協会は6年以上かけても解決できていない。そこでFIBAが期待するのは、川淵氏の「剛腕」だ。FIBAは大胆でスピーディーな変革を求める。不可能といわれたサッカーのプロ化を成功させた川淵氏は適任といえそうだ。

 特別チームはJOC関係者、有識者、企業関係者ら7、8人で編成。日本協会の監督官庁の文科省関係者も、オブザーバーとして加わる。FIBAからはバウマン事務総長か、ともに来日中のワイス財務部長が入る予定。

 この日、バウマン事務総長と会談した下村文科相は「練習に励む選手にとっては極めて酷なこと」と早期解除を要望した。16日から2日間、関係各所を回ったバウマン事務総長は「日本のバスケットボール界が未発達であることが明らかになった。力をつけてくれることを期待している」と答えたという。川淵氏の改革が、どん底に沈んだ日本バスケット界の命運を握る。

 ◆川淵三郎(かわぶち・さぶろう)1936年(昭11)12月3日、大阪府生まれ。早大サッカー部で活躍後、61年に古河電工入社。64年東京五輪のアルゼンチン戦でゴール。72年に現役引退し、古河電工と日本代表の監督を歴任。91年にJリーグのチェアマン就任。02年から日本サッカー協会会長、協会名誉会長。12年6月から日本サッカー協会最高顧問。20年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会評議員、首都大学東京理事長も務める。

 ◆日本協会の加盟資格停止

 国際バスケットボール連盟は11月26日、日本バスケットボール協会が、2つある国内男子リーグを統合できないなど国内統括団体の機能を果たしていないとして、日本の加盟資格を停止し、あらゆる国際活動に参加する権利を剥奪したと発表した。16年リオデジャネイロ五輪のアジア予選を来年に控え、日本は男女すべての年代の代表チームが対外試合を禁じられた。FIBAの代表者が来日し、タスクフォースを設立して日本協会の運営を指導することになった。