大相撲の野球賭博事件に絡み、2件の恐喝罪に問われた元力士古市満朝被告(38)は21日、東京地裁(登石郁朗裁判長)の初公判で、元大関琴光喜関から350万円を脅し取ったとする起訴内容は認めたが、野球賭博の取りまとめ役だった阿武松部屋の元幕下力士(35)から300万円を脅し取ったとするもう1件の起訴内容は否認した。

 2件のうち、この元幕下力士に対する恐喝罪の共犯とされ、併せて審理された指定暴力団山口組系組幹部の安田善彦被告(46)も否認した。

 両被告らは、口止め料名目などで元琴光喜関に1億円を要求したとして恐喝未遂罪でも起訴されており、3件目の審理は次回以降となる見通し。

 検察側は冒頭陳述で「元琴光喜関は(賭博の胴元との仲介役だった)阿武松部屋の床山(29)に誘われ2006年6月ごろから野球賭博を始め、元大嶽親方の分も合わせ自分の名前で賭けるようになった」と指摘した。

 検察側冒陳によると、元大嶽親方が元琴光喜関に依頼して昨年8月、阿武松部屋の元幕下力士に賭博の勝ち金約500万円の支払いを求めると「古市被告に賭博の負け分として二千数百万円を貸しているが、回収できないので支払えない」と言われた。

 元琴光喜関から相談を受けた別の力士が翌9月、古市被告の弟の元力士(34)に「おまえの兄貴が金を支払わず、琴光喜が受け取れない」と叱責(しっせき)。弟から話を聞いた古市被告は、元琴光喜関が野球賭博をしていると確信し恐喝を決めた、としている。

 起訴状によると、古市被告は今年1月25日ごろ、元琴光喜関に対し、床山を通じ「野球賭博をやっていることがマスコミや警察に知られたら大変なことになる」と脅迫。翌26日ごろ、口止め料名目で350万円を受け取った、などとしている。