15日初日の大相撲春場所(大阪府立体育会館)で、日本マクドナルドが初めて懸賞金を出すことが、4日分かった。横綱朝青龍(28=高砂)の復活優勝で初場所が盛り上がったことに注目し、1場所計50本(300万円)という大盤振る舞い。深刻な不況と、相次ぐ不祥事で懸賞本数の減少が続く中、角界にとってはありがたい大口スポンサーの登場だ。日本コカ・コーラ社が、朝青龍がCM出演中の炭酸飲料「ファンタ」の懸賞を出すことになるなど、角界は朝青龍さまさまだ。

 朝青龍が、角界の新規スポンサー獲得に「貢献」した。1月26日の初場所優勝一夜明け会見の終了直後、「腹減った。ああ、マック(マクドナルドのハンバーガー)食いて~」と叫び、その様子がテレビなどで報じられたが、何とその日本マクドナルドが、春場所から初めて大相撲の懸賞を提供することになった。

 しかも、1場所計50本という本数は永谷園(200本)やフローラ(76本)タマホームズ(75本)に続く第4位という大口だ。日本マクドナルドの広報担当者は「横綱が復活優勝した初場所を見させていただき、我々も国技を応援して一緒に盛り上がりたいということになった」と説明。朝青龍の「マック、食いて~」発言については「(懸賞を出す)直接的な要因ではありませんが、横綱の会見での発言はありがたかったです」と話した。

 相次ぐ不祥事などで場所の懸賞本数は減少傾向にある。08年秋場所は前年の同場所比で222本減少し、朝青龍フィーバーに沸いた初場所も08年同場所比で123本減った。だが、08年の全店売上高が国内外食産業で初めて5000億円を突破した日本マクドナルドは不況を感じさせない勢いがある。東京・両国西口店では02年から東京場所で勝った力士にハンバーガーなどを無料提供してきたが、土俵に懸賞旗を出すことで「40~50代にアピールしたい」(同担当者)という狙いもあるという。

 そんな経済効果をもたらした朝青龍は、この日はけいこを休んだ。番付発表翌日の3日には「(引退危機の)初場所の前とは違って、優勝した後だから腹いっぱいの状態だよ」と話したが、「満腹」のままでは「優勝争いの取組」を中心にかけられる日本マクドナルドの懸賞に手が届かなくなりかねない。関係者によると、朝青龍は5日からは出げいこを開始し、ペースを上げていくという。【柳田通斉】