「頑張ってください」にキレた!?

 大相撲の横綱朝青龍(29=高砂)が、初場所中の1月16日未明に東京・西麻布で男性を殴ったとされる騒動で3日、新情報が浮上した。知人男性から「頑張ってください」と声を掛けられ、「オレに頑張れとは何だ」と激高したとの情報があることが捜査関係者の話で分かった。警視庁によると2日に朝青龍側の弁護士が示談書を提出したが、周辺捜査での新事実に、来週以降、男性から事情を聴き、朝青龍も任意で聴取をする方向で検討している。日本相撲協会は4日、東京・両国国技館で貴乃花親方(37=元横綱)ら新メンバ-による理事会を開き、朝青龍の問題について討議する。

 「泥酔暴行騒動」を議題にする4日の理事会を前に、信じられない新情報が明らかになった。朝青龍の暴走の引き金になったのは、男性の「頑張ってください」の“激励”の言葉だったという。事実だとすれば「横綱の品格」どころか、常識外れの人格そのものが疑われる。

 捜査関係者によると、朝青龍は1月16日未明に、六本木のクラブで飲酒した後、路上で多数のファンに囲まれた。そこにクラブ関係者の男性が、朝青龍とファンの間に割って入った。この際、男性が「横綱、頑張ってください」と声を掛けると、朝青龍は「おれに頑張れとは何だ」と怒りだし、男性を自分の車に乗せたという。男性はクラブ近くの路上で車を降り、交通事故処理中の麻布署員に「車内で殴られた」と訴えていた。

 トラブルの発端となった「新情報」の浮上で、停滞していた警視庁の捜査の手が再び動き始めそうだ。朝青龍への事情聴取は当初、2、3日にも行われるとみられていたが、男性が一転して被害を否定しはじめたことで、足踏みしていた。しかし、今回の情報をとっかかりに、麻布署は来週以降、男性から事情を聴き、詳しい事実関係を調べるとともに、朝青龍も任意で聴取する方向で検討しているという。

 2月に入って朝青龍の「暴行騒動」は、厳罰処分を求める世論に反し、「灰色決着」へと傾きつつある。被害を訴えていた男性が「暴行されたのはウソ」と記した同意書が協会に提出され、師匠の高砂親方も一門の理事らに「本人は酔っていて覚えていない」などと説明。2日の協会の調査委員会の事情聴取では、当初被害者として名乗り出たマネジャ-が暴行について「見ていない」と証言。友綱委員長も「大げさなものではない」と見解を示し、朝青龍への聴取にも後ろ向きだった。「暴行はなかった」として幕引きする協会側の意図も見え隠れした。

 警視庁はこの日、男性が被害届を提出しないなどとする示談書が麻布署に出されたことを明かした。示談書は1月29日付で、朝青龍側の弁護士が2日に提出。「このたびのことについて許す」という趣旨が書かれ、朝青龍の代理人と男性のサインや慰謝料の金額も記載されていた。暴行の事実については触れられていなかった。しかし、これだけ世間を騒がせた一件だけに、警視庁は捜査を継続している。

 4日には新メンバ-による理事会でこの問題が討議される。「真相究明」を訴えている貴乃花新理事も加わる。さらに横綱審議委員会も同日、臨時の会合を開いて議論する。協会の調査委員会は、理事会では中間報告がなされ、処分決定は10日になるとの見解を出しているが、次から次に出てくる常軌を逸した「悪態情報」に、早急な「厳罰処分」を求める声が噴出する可能性もある。