日本相撲協会は19日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、弟子3人への暴行が発覚した春日野親方(49=元関脇栃乃和歌)を厳重注意した。17日に同親方から報告を受けて注意したが、再度呼びつけた。暴行を受けたという幕内栃ノ心、幕下の栃飛龍と栃矢鋪も呼んで事情聴取。17日と説明に相違がなく、3力士も「自分らが悪い」と反省しており、警察に被害届を出す意思がないことから厳重注意にとどめたが、放駒理事長(元大関魁傑)は「教育の一環であってもゴルフクラブでたたくのは行き過ぎ」と厳しく指摘した。

 暴行は規律違反に対するしつけだったという。13日まで埼玉・入間市で行われた合宿中、再三注意してきた浴衣や着物以外で外出したことが発覚。栃ノ心は門限も破り、同親方は14日夕に全力士の前で、素手やゴルフクラブのアイアンの柄で顔や背中などを殴った。

 3人に目立った外傷はないが、暴行に使用されたアイアンは曲がった。07年の序ノ口力士の暴行死を受けて再発防止を掲げただけに、世間の相撲離れに拍車を掛けかねない。春日野親方は「やり過ぎたのは自分でも分かっていました。寛大な措置をいただいたと思います。もうゲンコツは入れない」と神妙だった。

 奥村展三文部科学副大臣は19日の記者会見で、春日野親方が日本相撲協会から厳重注意を受けたことについて「あってはならないことであり、報告を待ってしっかり指導していきたい」と述べ、協会に再発防止の徹底を求める考えを示した。奥村氏は「以前から(力士暴行死などの)事件があり、協会がガバナンスに取り組む中でこういうことが起きたのは大変残念だ」と述べた。中川正春文科相も同日、日本記者クラブでの記者会見で「まだ詳細をつかんでいないが、報道のようなことが起きたのなら遺憾だ」と話した。