幕内碧山(25)ら田子ノ浦部屋の力士8人は、同じ一門の出羽海部屋に転籍して再出発することが14日、確実になった。関係者によると、13日に急逝した故田子ノ浦親方(享年46=元前頭久島海)は生前、一部の弟子に「自分に何かあったら、出羽海部屋に行くように」と、現役時代に育った本家に世話になるよう伝えていたという。今日15日の臨時理事会で、正式に決定する。

 田子ノ浦親方の遺体は、この日午後4時50分、東京・江東区の部屋に無言の帰宅を果たした。部屋には出羽海部屋の出羽海親方(元関脇鷲羽山)、出来山親方(元関脇出羽の花)、高崎親方(元前頭小城ノ花)らが駆けつけ、早すぎる死を惜しんだ。遺体は大部屋に置かれ、訪れた関係者は焼香して手を合わせた。

 遺体は都内の病院で検視され、死因は虚血性心不全、死去した日時は13日午後4時37分と発表。吐血はしておらず、倒れた時の衝撃で、口をぶつけて出血していた。通夜と告別式は、出羽海一門葬として営まれることも決まった。

 田子ノ浦親方が担当していた審判委員も補充される。この日、第2新弟子検査を担当した鏡山審判部長(元関脇多賀竜)は「審判はずっと同じ班だった。仕事はできた。若いのに、意見を言える親方だった。まだまだこれからだったのに惜しいね」と悔やんだ。

 北の湖理事長(元横綱)は「引退後は田子ノ浦部屋をおこし、碧山といった将来を期待できる力士が育ってきただけに、本人は大変残念だったと思います。大変残念です」との談話を発表した。