<大相撲初場所>◇14日目◇25日◇東京・両国国技館

 落ち着いていた。前頭10枚目遠藤(23=追手風)は、くせ者の里山を突っ張りで追い込むと、最後は頭をつけるようにして寄り切った。日大の9年先輩を問題にせず「イメージ通り。腰を割って、慌てず対応できた」と、うなずいた。

 負けず嫌いな性格が、日々の成長を促している。それは、相撲以外でも同じだ。金沢・西南部中時代の恩師、西塔幸子さんは「相撲だけできて勉強ができないのは嫌だったみたい」と振り返る。当時は4時間近い稽古をこなした後、単語帳に英語を書き込むなど、勉強の努力も欠かさなかった。毎日1リットルの牛乳を水代わりに飲み、体が大きく成長したのもその頃だった。

 11勝目で、初の三賞を確実にした。初土俵から6場所目の受賞なら、99年春場所で敢闘賞を獲得した雅山の5場所目に続く、史上2位タイのスピード記録だ。三賞の印象については「殊勲賞は優勝した人に勝った人がもらうもの。技能賞は、舞の海さんのイメージ。敢闘賞は新入幕の人がもらうものかな。あまり基準は分からないです」と、初々しい表情で話した。

 千秋楽の相手は新入幕の貴ノ岩。「いつも通り、集中してやるだけです」。6場所目での12勝なら、62年初場所の豊山に並ぶ最多。歴史に残る勝利で、飛躍の場所を締めくくる。【木村有三】