<大相撲初場所>◇千秋楽◇26日◇東京・両国国技館

 前頭10枚目遠藤(23=追手風)が白鵬から優勝パレードの旗手に指名された。表彰式終了後の支度部屋。「さっき言われました。緊張とかいうより、何したらいいのか分からない」。羽織はかまの着方も、まだおぼつかない。段取りも分からない。優勝旗を片手に、白鵬の隣で右手を上げて祝福の拍手に応えた。

 「ザンバラでやった人いるんですか?」。遠藤は戸惑う。一昨年九州場所の大喜鵬以来。実力や存在を認められたからこそ。千秋楽は右上手の有利な体勢から、貴ノ岩に逆転の下手出し投げで敗れ11勝4敗。それでも入門から所要6場所での2桁は史上最速タイ。勝利が条件だった技能賞は逃したが、敢闘賞は受賞した。「意識しすぎて負けちゃったのかな。欲を出せば2つだったけれど、1つもらえたことだけでも光栄。素直に感謝の気持ちで喜びたい」。来場所の三役はならずも、前頭上位は間違いない。今場所は12日目に大関琴奨菊の厚い壁を経験。来場所は横綱、大関との対戦が続く試練の場所になる。

 新入幕の昨年秋では左足首を痛め途中休場。九州でも万全ではなかった。今場所は6日目の北太樹戦で右目をぶつけ、腫れ上がった。「あんな状態でよく星が上がったと思います」。完調で臨めればという手応えも感じつつある。

 春場所の追手風部屋宿舎は白鵬の宮城野部屋と同じ大阪・堺市にある。「あおらないでくださいよ~」と話すが、白鵬から稽古相手に指名される可能性は十分にある。優勝決定戦を支度部屋で見ながら「横綱すげえ。こんな緊張感すげえ」とつぶやいた。入門7場所目の挑戦は、武双山と並ぶ最速金星の獲得だ。【鎌田直秀】