<東京6大学野球:早大28-0東大>◇第1週2日目◇13日◇神宮

 早大・斎藤佑樹投手(2年=早実)が、自身最少の93球の省エネ完封で2年目のシーズンをスタートした。東大2回戦に先発し、4安打5奪三振で無四球、打者28人で仕留めた。6大学最多得点にあと1点と迫る28-0で勝ち点1を奪った。28点差勝利は99年春の法大-東大の24点差を上回る史上最多得点差になった。

 曇天の神宮に、ピッチのいい斎藤の投球が光った。「雪が降るかと思った」と話す寒空の下、93球の省エネ完封劇を公言通り無四球で決めた。「監督からは1人で投げろと言われてました。いい滑り出しだと思います」。3季連続の開幕投手は逃したが、神宮の主役は譲らない。

 圧倒的な力量差がある相手を、打たせて取った。全力で投げたボールは「1~2球です」。直球とスライダー主体で、ツーシームは1球のみ。最速は144キロで、三振は5つに抑えた。集中力維持が難しい状況で、6大学歴代2位の大量得点を、テンポいい投球で呼び込んだ。

 実現すれば1年春からの3季連続開幕投手は81年ぶりだった。キャンプから自分だと信じ、調整を続けてきた。今月に入って応武篤良監督(49)から伝えられた時は「ちょっとびっくりして、戸惑った」という。だが「プロとは違うし、開幕よりも結果が大事。開幕(投手)の記録を作っても仕方ない」と切り替えた。

 100球未満の完封は、野球人生で「初めて」と納得する。大人びた投球同様、2年目を迎え、私生活でも「アニキ」になった。1年生4人が入寮し、電話番、風呂掃除などの雑用が減った。「文武両道を目指す」の言葉通り、1年時には登録40単位中38単位を取得。同じ教育学部を選んだ昨夏甲子園Vの「がばい女房」市丸大介捕手(1年=佐賀北)には授業選択のアドバイスを送った。

 ユニホームのポケットには、ハンカチの代わりに、神宮のベンチ前に置く清めの塩をラップでくるんで入れる験担ぎをする。前日には同期生の楽天田中がプロ2度目の完封。斎藤もこれがリーグ戦2度目の完封だった。感想を求められると「基本的に見てないんですけど…プロとアマではプロの方がすごいですからね」。今は比較する時ではない。斎藤は我が道を信じて進んでいる。【前田祐輔】