宮崎キャンプを視察中の谷繁元信氏(48=日刊スポーツ評論家)が、巨人の攻撃面について言及した。

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今年の巨人は投手陣が少し弱いと見るが、打線のカバー力がカギを握る。1試合平均4・5得点、年間にして650得点オーバー(昨季625得点)が目安となる。

原監督に今キャンプのテーマを聞くと「第2の鈴木尚広をつくる」と返ってきた。スペシャリストの確立がメインというのは新鮮だった。現役時代、巨人戦で終盤に先頭が出塁し、代走に鈴木が出てくると、どんな点差でも意識させられたし、プレッシャーになった。今の野球は西武、日本ハム、広島と足を絡めたチームが強い。ソフトバンクも盗塁数は少ないが、日本シリーズで捕手の甲斐が広島の機動力を封じて制したのは、逆に象徴している。

2日の練習でも鈴木コーチが重信、松原らに走塁技術を教え、原監督も1時間以上、付きっきりで見守っていたのは重要になると考えているのだと思う。高い目標になるが、盗塁成功率8割以上のスペシャリストが2、3人いれば50得点は上積みできる。

FAで加入し、下位打線に入ることが予想される炭谷の打撃も期待したい。打率が2割3分から2割5分の間ぐらいでも50打点を挙げると打線全体につながりが出てくる。5、6番まではポイントになる打者がいて、相手も力の落ちる7、8番で勝負しようとするから走者がいる場面が多い。炭谷は昨季の得点圏打率3割4分5厘とチャンスにも強く、十分にかえせるはずだ。

私は下位打順の時は50打点以上を目標にしていた。98年に横浜でマシンガン打線で日本一になった時は、7番を主に打ち55打点、8番の進藤さんが54打点を挙げた。7、8番の得点能力の高い打線は相手からしたら怖い。巨人も第2の鈴木と炭谷のバットで650得点を超えれば、優勝が見えてくる。(日刊スポーツ評論家)