巨人対DeNA 1回裏巨人無死一、三塁、飯塚(手前)は坂本勇を遊撃併殺打に仕留める(撮影・山崎安昭)
巨人対DeNA 1回裏巨人無死一、三塁、飯塚(手前)は坂本勇を遊撃併殺打に仕留める(撮影・山崎安昭)

日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(48)が巨人-DeNAの練習試合を視察し、ある1球に注目した。初回無死一、三塁、DeNA飯塚が巨人坂本勇に投じた1球が、試合の中で大きな意味を持った。

   ◇   ◇   ◇

練習試合、オープン戦は主力選手も早々に代わることが多く、展開も変わりやすい。その中でも「この1球」という試合の分岐点が存在する。

巨人攻撃の初回無死一、三塁。安打と相手の落球というチャンスで、2ストライクと追い込まれた坂本勇が遊ゴロ併殺打を放ち、先制点を挙げた。この1球が両軍に大きな意味をもたらすと序盤に感じた。エラーの絡んだ得点機で先制し、併殺とはいえ、巨人にとって最低限、納得できる結果に思えるかもしれない。だがDeNAも大量失点につながりかねない場面で1失点にとどまり、飯塚も立ち直るきっかけをつかめた。

結局、巨人は接戦の形で試合はつくれたものの、攻撃の勢いが途切れた。一方でDeNAは主導権を譲ることなく、逆転勝ちにつなげた。1点取ってOKではなく、1点取られてもOKという展開。これはシーズン中にもよくあることだ。

飯塚にとっても大きな1球だった。3回1失点と乗り切り、アピールできた。キャンプのブルペン投球を通して見ていても、成長を感じる。2段モーションにして軸足に体重が乗るようになり、バランスもいい。元祖2段モーションの三浦投手コーチがおり、お手本が身近にいるのも生きているのだろう。先発ローテを争う中で「この1球」が流れを変えることもある。(日刊スポーツ評論家)

巨人対DeNA 1回裏巨人無死一、三塁、坂本勇は遊撃併殺打を打つ(撮影・山崎安昭)
巨人対DeNA 1回裏巨人無死一、三塁、坂本勇は遊撃併殺打を打つ(撮影・山崎安昭)