プロ野球界は、新型コロナウイルスの影響で先が見えにくい状況に陥った。

日刊スポーツ評論家の権藤博氏(81)は「今こそプロとしての自己管理を徹底、日本球界の転換期とすべき」と提言。古巣・中日については「能力の高い選手ばかり。自己管理に徹すればいい」とチームとして戸惑う必要はないと断言した。

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プロの世界に飛び込み、まもなく60年になるが、このような事態は経験がない。だから経験者としてアドバイスできることはないが、この状況だからこそ、伝えたいことがある。「今こそ日本球界の転換点にすべき」ということだ。

新型コロナウイルスの感染拡大で、開幕が見えてこない。対応は球団によって微妙に違うようだが、情勢は日々変化している。私が現場リーダーであったなら「無期限自由練習」を選択するだろう。

日本のプロ野球に入ってくる選手は、総じて能力が高い。自己管理さえできれば、何ら問題はない選手が大半だ。現在の中日の選手はとりわけ、投手も野手も能力が高い。すでにキャンプ、オープン戦も経て、準備は整っている。チーム全体としては開幕日が確実に決まり次第、全体集合日を設定。逆算して10日前ごろから1週間の実戦練習があれば十分、戦える。問題は、プロとしての自己管理を選手個々が自覚を持ってやれるかどうかだ。

日本球界はこれまで「管理」の名のもとで、細かなスケジュールや練習メニューを設定。「全体」として行動してきた。だがプロ野球選手は本来、個人事業主。もともと能力の高い人間たちの集団なのだから、自己管理さえできれば何ら問題はない。

もちろん選手も自己管理を任された以上、調整、強化だけでなく、ウイルス感染回避にも最善を尽くさねばならない。日々の生活では、たとえチームメートであっても最大限の注意を払って対処する必要がある。一方、球団や現場指導者のやるべきことは、個々の選手が思う存分練習できる環境の整備だ。真のプロフェッショナル集団へ-世界中の各シーンで難しい危機管理が求められる今だからこそ、中日にも日本球界にも大胆な転換を望みたい。(日刊スポーツ評論家)