練習試合の最終戦で4番を任された岡本が、1発で締めくくった。プロ入り4年目で3割9厘、33本とブレークし、昨年は打率2割6分5厘ながら本塁打は31本。今年の練習試合も好調で、開幕4番に異論を唱える人はいないだろう。この日のホームランも、チームを代表する長距離砲らしい見事な1発だった。

0-0で迎えた6回2死だった。この場面で岡本に期待されるのはホームラン。逆にロッテバッテリーは長打を警戒する場面で、フルカウントから外角の直球で勝負した。パワー投手のハーマンだけに、この選択肢は間違えていない。しかし、やや高めに浮いた151キロの真っすぐを、岡本は右翼席にたたき込んだ。

本物の打者は、相手から「外に投げておけば長打はない」と思われるようではダメ。その一方で、外角の球を引っ張って本塁打にするのは、難しい技術が必要で、本塁打の確率は低くなる。確率を下げないでホームランを打つためには、外角球を逆方向に打つパワーが必要になる。おそらく岡本は、逆方向に打つ意識を持つというより「球を強くたたく」という意識だったはず。強引に引っ張りにいかなくても、コースなりに強くたたければどの方向でもホームランにできるという自信があるからだ。

今年も30本塁打以上を打てば、球界を代表する4番打者になれる。しかし、少し残念な打席もあった。4回1死三塁の場面で、ど真ん中の直球を見逃し三振。ロッテの捕手はルーキー佐藤で、3-0から直球を3球も続けないと思ったのだろうが、あの場面は見逃し三振だけはダメ。ストライクゾーンにくる球には、どんな球でもバットが出るような備えをしなければいけない。チームを代表するのが「4番」であるならば、チームの士気を下げるような打席も減らしたい。このような打席をなくし「真の4番」を目指してほしい。(日刊スポーツ評論家)

巨人対ロッテ 4回裏巨人1死三塁、見逃しの三振に倒れる岡本。投手二木(撮影・垰建太)
巨人対ロッテ 4回裏巨人1死三塁、見逃しの三振に倒れる岡本。投手二木(撮影・垰建太)