阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が1日から始まる虎の春季キャンプの展望を語った。新助っ人の来日遅れの影響や課題の拙守克服はどうなるのか。自身の85年コンバート秘話を明かしながら、解説した。(取材・構成=田口真一郎)

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キャンプにおいて、監督の重要な役割は、1、2軍メンバーの振り分けでどういうメッセージを込めるかにある。その中で、どの選手をどこに守らせるか。このポジションは、誰と誰をつけてとライバル視させて練習させるのは監督の考え次第になる。ロハスやアルカンタラという新戦力の合流が遅れるのは、チームにとってマイナスに間違いないが、外国人は必ずしも1年間働いてくれるとは限らない。そのポジションにどういう日本人の選手を置くか、まずは助っ人抜きでベストの陣形を考える必要がある。

例えばサンズが一塁の練習も行う予定だが、どれぐらい守れるかは未知数だ。外野は近本、糸井、佐藤輝、井上、中谷、高山、陽川と多くの名前が挙がる。ロハスの合流時期は不透明だが、調整がうまくいけば、間違いなく、いい数字を残すと思う。となれば、外野でここまで競争させる必要があるのか。逆に一塁はサンズ、マルテがいるが、そこまで盤石だろうか。何度か提言しているが、ルーキーの佐藤輝は大学で内野の経験があるので、外野で起用するのはもったいない。一塁ならば、20年近く守ってくれるだろう。ラジオ番組で陽川に直接言ったことがある。「キャンプでは黙って、ずっと一塁を守れよ。チャンスはある」と。

守備の強化がここ数年の課題にあるが、やはりポジションはここと定めて鍛えたほうがいい。私の考えでは、守備は右と左に分けていい。同じ外野でも試合の途中でレフトからライトに移ると、非常に難しい。打球判断が鈍り、1歩目が遅くなるし、打球を遠回りで追うこともある。ショートとセカンド、サードとファーストも同じだ。打球の切れ方が全然違う。二塁、一塁は併殺プレーなど逆方向への送球が多くなる。それだけキャンプで数多くやらせる必要がある。守備位置を決めないと、練習が身につかない。

日本一になった85年に右翼にコンバートした。自分の中では膝も悪くなったし、二つ返事だったが、吉田監督、守備走塁コーチの一枝さんに呼ばれた時に、条件を出した。「内野でケガ人が出たから戻れと言われても、すぐに戻れませんよ。1カ月はかかる。そういう覚悟でなければ、行きたくない」。それだけポジションが変わるのは難しいということだ。ステップの踏める外野はボールの縫い目に合わせて投げないと、遠投で失速してしまうが、内野では、そんな時間はない。ボールの握り方ひとつとっても、違うんだ。

遊撃候補はいろいろいるが、木浪と小幡ははっきりと競争させたほうがいい。二塁は糸原がレギュラーだが、足と守備力のある植田をぶつける。打てるようになれば、完全に抜けるよ。ダメなら、2軍で試合経験を積ませる。そういう争いが見られたら、おもしろい。一番自信のある場所で勝負させたほうがいい。

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