阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)がドラフト制後の新人では最速となる33試合目で10号本塁打を放った。

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佐藤輝にとって、今後のヒントとなる本塁打だった。4回の打席は追い込まれてから、内角高めの直球に、腕をたたんで、体の回転で打った。前の打席では中飛に打ち取られたが、その球種であるフォークが頭にあったと思う。その中で、ストレートに対応できた。ポール際に切れてもおかしくないコースだったが、うまくとらえた感がある。つまり何が何でもフルスイングしなくても、あれだけ飛ぶということだ。そういう意味で今後のヒントになる。

一時よりもボール球に手を出さなくなっていたが、インサイドを攻められてきたことで、まだ内角を意識し過ぎる面があった。そのため、逆球など甘いコースをとらえきれなかったところがある。力を入れなくても打てますよ、というのが分かっただろうし、早いカウントでもこういう打ち方をすれば、本塁打になる。

開幕から4番に座った大山が負傷で離脱した。当然、佐藤輝は4番を打つ資質を持っている。それに加えて、首脳陣は打順をあまりいじりたくない、というのもあっただろう。3、5番に置けば、マルテあるいはサンズを動かさなければならない。これまでのいい流れを変えたくないという点で、新人の4番起用はうなずける。

ファームでは、新外国人のロハスが調整しているが、1軍に上げれば、簡単には外すことのできない選手だ。しっかりと準備して打てなければ、他の選手にも影響が出てくる。そういう意味では、佐藤輝は十分な働きを見せているし、6番で使った糸井も本塁打を記録した。選手層の厚さという意味では、うれしい悲鳴だろうが、当面は打線の骨格を変えずに、戦っていくことになるだろう。(日刊スポーツ評論家)