阪神は逆転負けを喫し、デーゲームの連勝が16で止まり、日本新記録はならなかった。これで16試合連続で白星と黒星が交互に続く「オセロ勝敗」となった。交流戦で貯金を伸ばせずにいる阪神に対し、日刊スポーツ客員評論家の吉田義男氏は「踏ん張りどころ」と指摘した。

   ◇   ◇   ◇  

阪神は交流戦で連勝ができなくなった。これで11試合を戦ったが、守護神スアレスの登板も4試合にとどまっている。

吉田 交流戦で勢いをつけて独走態勢に入るのではとみたが、スアレスにつなぐまでのリリーフ陣の不調は痛い。ここは踏ん張りどころで、ベンチワークのやりくりが求められます。みすみすゲームの流れを逆流させてしまいましたな。

5回。近本の三安と犠打で1死二塁。マルテの打席で二塁走者の近本がソフトバンク先発マルティネスからのけん制に刺された(記録は盗塁死)。

吉田 わたし自身も、選手、監督として遭遇している“塁上死”ですが、きつく戒められた凡プレーです。あそこは押せ押せムードで、クリーンアップに任せてじっくり攻めるべき場面でした。せっかく主導権を握るところが、首位をいくチームの試合運びとは言えなかった。油断したとは思えないが、当たり前のことを当たり前にできなかった結果でした。

直後の6回に伊藤将が真砂に適時二塁打、甲斐には逆転本塁打を浴びた。7回無死一塁からは大山が川島のバスターをはじいた。続く今宮の犠打で二、三塁、3番栗原の投ゴロで加点。柳田の遊ゴロをショート中野が一塁に悪送球し、この回2点目が入った。

吉田 中野を突いた柳田のゴロだが、周囲はイレギュラーだとか、バウンドが合わなかったせいと言うかもしれないが、わたしに言わせればグラブを立てて処理するプレーでした。6回にファインプレーをしていただけに残念だが、次に生かしてほしい。一方、近本が二盗を試みた1回、甲斐からの送球を受けた今宮のタッチプレーはプロの技だった。塁上の一瞬のプレーは内野手の見せ場です。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

阪神対ソフトバンク 1回裏阪神無死一塁、打者北條の時、二盗を試みた近本はタッチアウト(撮影・宮崎幸一)
阪神対ソフトバンク 1回裏阪神無死一塁、打者北條の時、二盗を試みた近本はタッチアウト(撮影・宮崎幸一)