2月1日のキャンプインまであとわずか。98年横浜の日本一監督で日刊スポーツ評論家の権藤博氏(83)の注目は、中日の「ゼロ補強」です。

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プロ野球もいよいよキャンプ・イン。私も宮崎、沖縄に出向き、取材行脚する準備をしています。話題のチームや新戦力の動向が興味の中心になるのでしょうが、注目する球団のひとつが立浪中日です。

昨年リーグ5位に沈んだチームをOBの立浪和義監督が新たに率いることになったわけですが、このオフの「補強」は皆無。むしろ「気持ちがいい」と言っていいほどの「ゼロ補強」ぶりです。

近年、中日の戦力は「投高打低」で、新外国人野手の補強は「マスト」という見方が一般的。にもかかわらず、球団と協議の上で立浪監督は現有戦力の底上げを優先したようです。そこにはいろいろなチーム事情もあるのでしょうが、この方針を私は全面支持したいと考えています。

使ってみなければわからない新外国人補強に頼るのではなく、現有メンバーで戦う姿勢と覚悟を示したことはキャンプに向かう選手への「君たち、頼むよ」という最高のメッセージです。レギュラーを狙う若手にとっても、主力にとってもモチベーションは高まっていることでしょう。特に主力と言われながら不安定な立場にあった選手たちに「監督はほんとに俺を信頼してくれている」とこのキャンプ期間に浸透させることができれば、弱い弱いと言われ続けてきた打線が生まれ変わる可能性は大いにあります。

本拠地が広いドーム球場ですから、投手を含めた守備力の重要度は他球団以上に求められます。又吉投手がFAでソフトバンクに移籍しましたが、投手陣の層はそれでも厚いとみています。ここをしっかり整備した上で、補強なき攻撃陣をどう戦う形にしていくのか。派手さはないかもしれませんが、中日キャンプの見どころも満載です。

「ゼロ補強」。いいじゃないですか。そこから信頼関係が芽生え、選手が力を出し切る環境が整えば中日は十分、戦えます。見えづらい部分ではありますが、信頼関係の強化、構築は進むのか。そのあたりも出来る限りチェックしたいと思っています。

◆中日の今オフの補強 ドラフトを除く新入団は、支配下ではFA移籍した又吉の人的補償の前ソフトバンク岩崎のみ。前ロッテの大嶺と外国人はいずれも育成契約。新人入団以外の支配下新戦力が1人という、極めて珍しいケースとなった。

プロ野球12球団キャンプ地
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