阪神が引き分けを挟み3連敗を喫し、借金は今季最多の11まで膨れ上がった。今季14試合目で早くも3度目の完封負け。貧打から抜け出せない。日刊スポーツ評論家の桧山進次郎氏は、4番で4打数1安打に終わった佐藤輝明内野手(23)の打撃を解説した。

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佐藤輝は1点を追う9回1死三塁の最終打席、自分自身と戦っているように映りました。カウント1-1から逆球の際どい外角直球をストライクと判定され、心が揺らいだのでしょうか。次のボールまでの数秒間で気持ちをリセットできないまま、最後はホームベース手前でバウンドしたフォークを空振り。あの場面、1度打席を外して冷静さを取り戻す工夫があっても良かったかもしれません。

これまでの傾向を見る限り、佐藤輝は気持ちに左右されてしまう打席が多い印象。一貫して攻められ続けている内角直球に対しても、やや頑固すぎる気がします。打って攻略したい気持ちはもちろん理解できます。ただ、毎回似たようなボールに詰まっているのが現状。「このボールを投げておけば大丈夫」と思われているようでは、4番打者のプライドが廃ります。

今季も開幕からここまで、頑固なまでに打席の立ち位置を変えていません。とはいえ、内角球に詰まらされる場面が多いのも事実。一足分、あるいは半足分だけでもベースから離れて立つといった工夫も必要ではないでしょうか。今まで詰まらされていたボールをバットの芯で当てられるようになれば、相手バッテリーはより嫌がると思います。

ベースから離れて立てば、当然、外角球はさらに遠く感じます。ただ、外角へのベストピッチはもともと打てても単打が良いところ。手が届かなくなっても、そこまで気にする必要はありません。左打者の4番は内寄りのボールを右翼、右中間に1発を運べてこそ、怖さがあるのですから。

ここまで打率2割8分1厘、2本塁打、7打点。決して責められる数字ではありませんが、4番である以上は「まだ2年目だから仕方がない」という声には賛同できません。苦しいチーム状況を打破するために、「4番力」は欠かせません。ほんのちょっとの工夫の積み重ねから、さらに進化してほしいと願っています。(日刊スポーツ評論家)

阪神対広島 9回裏阪神1死三塁、佐藤輝は空振り三振し悔しそうな表情を見せながら一塁まで走る(撮影・加藤哉)
阪神対広島 9回裏阪神1死三塁、佐藤輝は空振り三振し悔しそうな表情を見せながら一塁まで走る(撮影・加藤哉)
阪神対広島 4回、打席に向かう佐藤輝(左)を見つめる矢野監督。右は大山(撮影・上田博志)
阪神対広島 4回、打席に向かう佐藤輝(左)を見つめる矢野監督。右は大山(撮影・上田博志)