ビジターで勝てない阪神が、逆転負けした。チーム状態が悪いときは「なにをやっても勝てない」という雰囲気に見えてしまうのは仕方ない。しかし、本当にやるべきことをやっているのだろうか? 負けるべくして負けているように感じてしまった。

今試合はローテーションの谷間であり、先発したのは斎藤だった。しかし、DeNAの先発も中5日の坂本で、うまく戦えれば十分にチャンスはあると思っていた。

個人的に「オープナー」という戦術になじみはない。それでも打者の立場からいうと、1打席だけで投手が代わるのは嫌なもので、投手の状態の見極めが大事。状態のいい投手を2イニング。悪い投手なら1イニングと決めてしのいでいけば、勝機は訪れると思う。

斎藤はいいのか悪いのか微妙な内容だった。それならば打者が一回りで交代で良かった。

2番手の馬場は、明らかに球は走っておらず、状態が悪そうだった。逆転した直後の4回に1失点。さらに5回にも逆転を許して降板した。

結果論だと言い切れない状況でもあった。今試合は天候も悪く、いつ中止になるか分からなかった。それならばリードした時点で、好調なリリーフ陣から登板させる手があった。仮に9回まで戦い、リリーフが足りずに負けてしまったのなら、諦めようがあった。

斎藤は4回表に打席が回るから引っ張り、馬場はできるだけ引っ張りたいから、もう1イニング投げさせた。ただでさえチーム状況が悪いのに、後手後手に回るような戦術では、厳しい戦いになってしまうだろう。

2番に起用していた佐藤輝を3番にしたのは、個人的に賛成。多少、状態が悪くても1発のある打者をクリーンアップに置けば、1番と2番への攻め方はストライクゾーンで勝負してくる可能性が上がり、調子が上がるきっかけにもなる。熊谷、山本のスタメン起用も納得できる。ともにここまで思うように出番がなかっただけに、はつらつとしたプレーをしていた。

現時点でスタメン起用して我慢していいのは、佐藤輝、大山、近本ぐらい。代打出場だった高山を含め、競争意識を高めて活性化させた方がいい。

開幕ローテーションにいなかった青柳、ガンケル、新外国人のウィルカーソンがローテーションに入っている。投手陣が整備されれば、まだまだ浮上できる戦力はある。これ以上、傷口を広げないためにも、目先の勝利にこだわった戦いが必要だと思う。(日刊スポーツ評論家)

DeNA対阪神 5回裏DeNA2死一、二塁、大田に左前適時打を浴び肩を落とす馬場(撮影・横山健太)
DeNA対阪神 5回裏DeNA2死一、二塁、大田に左前適時打を浴び肩を落とす馬場(撮影・横山健太)
DeNA対阪神 3回裏DeNA無死一塁、佐野に左翼線に二塁打を浴びる斎藤(撮影・河田真司)
DeNA対阪神 3回裏DeNA無死一塁、佐野に左翼線に二塁打を浴びる斎藤(撮影・河田真司)